改正福島特措法 故郷に国費で復興拠点

公明新聞:2015年5月18日(月)付

住まいと仕事の再建も支援

党福島復興加速化本部 若松謙維議長に聞く

東京電力福島第1原発事故で避難した福島県の住民の早期帰還や定住を支援するための改正福島復興再生特別措置法が今国会で成立し、今月7日に施行された。同改正法のポイントや公明党の取り組みについて、党福島県東日本大震災復興加速化本部の若松謙維議長(参院議員)に聞いた。

 

―福島特措法とは、どんな法律か。

若松謙維議長 東京電力福島第1原発事故災害で被災した福島県の復興を加速するための法律だ。2012年3月、当時野党だった公明党が法律立案から条文作成までリードして成立させた。基本理念に国の社会的責任を明記したほか、18歳以下の県民の医療費無償化に道筋を付けた。

―今回の改正では何が変わったのか。

復興拠点のイメージ(大熊町大川原地区)若松 故郷への帰還を望む原発事故避難者が生活するための住宅や商業施設を集めた復興拠点【イラスト参照】を国の資金で迅速に整備できるようにした。この制度で拠点を造るのは、福島県の帰還困難区域(年間被ばく線量50ミリシーベルト超)を除いて、近く避難指示が解除される見込みとなっている区域や避難解除区域だ。

―具体的には。

若松 復興拠点の用地買収・造成やインフラ整備などに使える「帰還環境整備交付金」を創設した。さらに、スピード感を持って拠点の整備ができるよう、用地をまとめて買い取れる制度を設け、自治体の事務手続きを簡素化した。

―仕事がなければ帰還は進まないのでは。

若松 復興拠点には、住宅はもちろん、役場、病院、商業施設、研究所なども設置する。改正法では、国の責任で支援する研究開発分野として「ロボット」を新たに盛り込んだ。公明党が推進している、福島県の浜通りに先端産業を集積する「福島イノベーション・コースト構想」を踏まえた内容で、新たな住民を呼び込む狙いもある。

―復興拠点ではなく、自宅に戻りたい人への支援は。

若松 避難生活の長期化によって住宅が傷み、避難指示が解除された区域に帰宅したくてもできない人が増えている。そこで、住宅再建資金の低利融資制度を設けた。仕事を再開したい事業者に対しては設備投資の資金を積み立てた際の税制特例を創設した。

―公明党は法改正にどう関わってきたか。

若松 法改正のきっかけをつくった。昨年3月30日に福島県大熊町の大川原地区を視察した際、町の担当者から「ここに復興拠点を造りたい」との要望があった。その5日後には、県側と共に関係省庁に詳細を直接伝えた。

―改正法で特に強調した点は。

若松 付帯決議(法律を運用するに当たっての政府の努力目標)に風評被害対策、交通機関の早期復旧、医療人材の確保などに取り組むよう明記した。大熊町の復活を信じ、清掃やパトロール活動を続ける「じじい部隊」など、故郷を次の世代に残すために奮闘する人々の思いを反映させたものだ。

―復興の加速化に向け、今後どう取り組むか。

若松 与党として近く「復興加速化のための第5次提言」を政府に提出する。集中復興期間は今年度で終わる予定だが、復興の財源を国が保有する財産の有効活用といった税外収入の確保で工面していくなど、被災地が復興の遅れを懸念することがないよう、全力を挙げていく。

公明新聞のお申し込み

公明新聞は、激しく移り変わる社会・政治の動きを的確にとらえ、読者の目線でわかりやすく伝えてまいります。

新聞の定期購読