地域強靱化計画 “国土の健康診断”急げ

公明新聞:2015年3月20日(金)付

東日本大震災を教訓に建設された津波避難タワー=千葉・旭市東日本大震災を教訓に建設された津波避難タワー=千葉・旭市

施策の優先順位を示す

大規模災害による最悪の被害を回避するため、全国の自治体で「国土強靱化基本計画」の“地域版”となる「国土強靱化地域計画」(地域強靱化計画)の策定が進んでいる。公明党提唱の「防災・減災ニューディール」の考え方が反映された「防災・減災等に資する国土強靱化基本法」に基づくもの。地域強靱化計画の概要や先進自治体の動きなどをまとめた。

北海道が策定 公明推進でバックアップ機能明記

強靱化計画とは、大規模災害が発生した時「起きてはならない最悪の事態」を想定。それを回避するために事前に実施する施策ごとの達成度や進捗状況で「脆弱性評価」を実施する、いわば“国土の健康診断”。それぞれの地域のどこが強く、どこが弱いのかを洗い出し住民の命を守るために必要な施策の優先順位を示し、重点化するのが特徴だ。

国土強靭化地域計画の策定に向けた取り組みを公表している自治体国土強靱化基本法では、各自治体が地域計画を策定するよう定められている。内閣官房国土強靱化推進室によると、5日現在、29都道府県、13市区町で地域計画の策定に向けた取り組みが進んでいる【表参照】。公明党は、国政で国土強靱化基本法の成立をリードしたのをはじめ、自治体首長への要請や地方議会での質疑を通し国土強靱化の取り組みの充実を訴え、地域計画の早期策定を推進してきた。

なかでも北海道は17日、全国に先駆け、地域計画(北海道強靱化計画)を策定した。道内で進める防災・減災に関する各施策の数値目標だけでなく、首都直下地震など道外で大規模災害が起きた場合、公明党が推進してきたバックアップ機能を発揮して国全体の強靱化に貢献することも明記。企業の本社機能や生産拠点の移転・立地の促進や、データセンターの立地促進などの重点施策を示している。

また、岐阜県は19日、地域計画(岐阜県強靱化計画)を公表した。地域の災害対応力を充実させる観点から、公明党が主張してきた自治会の強化や防災リーダーの育成が盛り込まれている。

一方、地域計画策定の最終調整に入っているのが、4年前の東日本大震災で被災した千葉県旭市だ。同市が担うべき強靱化の役割として(1)事前防災の徹底と行政、民間の連携による強靱な地域づくり(2)旭中央病院の災害拠点病院としての機能強化(3)首都圏への食料供給機能の維持―を掲げて、議論を重ねてきた。地域計画には、市が行っている施策の進捗率を目標年における目標値と並べて示すなど、住民に少しでも理解してもらうための工夫が盛り込まれている。

政府は昨年6月、地域計画のガイドラインを公表するなど、策定を後押ししてきた。首都直下地震や南海トラフ地震など大規模災害への備えは待ったなしだ。地域計画の策定が急がれる。

自治体、事業者、住民が知恵を絞り連携し実行

中林一樹・明治大学大学院特任教授

地域計画の必要性などについて、中林一樹・明治大学大学院特任教授に聞いた。

地域計画の策定意義は、地域を壊滅するような被災状況を想定し地域で事前にどんな施策・取り組みが必要かを考え、限られた予算の中で何を優先して実現すべきかを、自治体、事業者、住民が知恵を絞り、連携して実行していくことにある。

脆弱性評価から導き出される取り組みは、住宅の耐震化率や、自主防災組織の普及状況を示すカバー率などのように、地域の住民や事業者が取り組まねば向上しないものが基本だ。

国よりも都道府県、さらに市区町村の方がより地域現場に近い。それだけに、住民から見て地域計画は分かりやすいことが重要だ。たとえば“災害発生により地域が孤立化する”事態に対し、公共事業として全道路を改良することはできまい。万が一、孤立化しても命と暮らしを守れるように、おのおのの地域で生活の自立化を工夫する。

ハード対策とともに孤立化してもそれを問題としないソフト面の取り組みが重要だ。そのためには、公共事業のみでなく、住民や事業者の取り組みが地域の強靱化に不可欠であることを十分理解できるよう工夫していく必要がある。

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