安心の産前・産後ケアへ

公明新聞:2015年3月17日(火)付

既存のネットワークや施設活用
東京・中野区

4月から本格的に始まる「子ども・子育て支援新制度」に関連し、国の産前・産後の母子への支援策である「妊娠・出産包括支援事業」も4月から本格実施されます。東京・中野区の事例を紹介するとともに、産前・産後ケアの充実への取り組みについて党厚生労働部会長の古屋範子・党女性委員長(副代表、衆院議員)に語ってもらいました。

宿泊型の産後ケアに期待

妊娠・出産包括支援事業 東京・中野区での事業のイメージ案産前・産後の切れ目ない子育て支援を行う上で大切なのが産後ケアです。公明党の推進により厚生労働省は2014年度、産後ケアも重点的に行う「妊娠・出産包括支援モデル事業」を20府県の29市町村で実施。新年度からは恒久事業となります。対象も150市区町村と5倍増。これは日本の全市区町村の約1割に当たります。

多くの自治体が新年度からの新事業開始へ準備を進めています。東京都中野区もその一つ。中野区議会公明党は、区長に実施を提案するとともに、区の担当者と折衝を重ねてきました。このほど今年10月から始まる予定の区の事業イメージの大枠が固まりました【詳細はチャート図参照】。低額で利用できる(所得によって負担額は変化)とされる宿泊型の産後ケアの充実が注目されます。

中野区の事業の大まかな流れは以下の通り。(1)母子手帳の交付を受けた全妊婦に電話し状況把握(2)踏み込んだ支援が必要と判断された妊婦には、助産師の面接などにより妊娠期から産後までの支援プランを作成(3)一方で母子保健事業と母体の健康管理や母乳相談などの産前サポートを実施(4)助産師や保育士によるグループワークを通じた産後の母体ケアや親支援プログラムの実施などの産後サポートを行う(5)助産院の施設などを活用した宿泊型の産後ケアやデイケアを実施するとともに、必要に応じ産後ヘルパーを派遣(6)これら産前・産後のケアは区内4カ所のすこやか福祉センターが拠点となり実施(7)支援の各段階で医療機関や児童相談所、女性相談センターなどと連携―。

区では既存の産前・産後支援のネットワークや区内の助産院など民間の出産施設、既存の行政のシステムを組み合わせて取り組んでいます。

孤立化させない寄り添う支援を全国で

古屋範子 党女性委員長(副代表、衆院議員)

公明党は早くから、切れ目のない妊娠・出産支援に力を入れ、出産育児一時金の創設と拡充、不妊治療支援、妊婦健診の14回公費助成などを実現してきました。

2010年、党うつ病対策ワーキングチームの勉強会で、日本周産期メンタルヘルス研究会の宗田聡理事から「産後うつ」について、周囲が気付かずサポートがない状態に置かれやすいため、産後うつが重症化しやすいことなどを学びました。

産後うつは児童虐待につながりやすい上、患者はどこに相談したらよいか戸惑う事例が多く見られます。産後の母親を孤立化させないためにも、きめ細かな施策が大切で、寄り添う形の支援の必要性を痛感し、取り組んできました。

その取り組みが15年度から本格実施されるワンストップ拠点(子育て世代包括支援センター)を中心に取り組む「妊娠・出産包括支援事業」につながっています。

地元の大学と協同して取り組む東京・世田谷区、地元助産師会に委託して事業を行う川崎市、助産院の機能も持った市立母子健康センターを活用して成果を挙げている大阪・高石市など、これまでの取り組みで得たノウハウの共有も大切です。

全国の公明党議員のネットワークを生かし、各地の特色に合わせ、産後ケアも含めた切れ目のない妊娠・出産支援を各地で進めたい。

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