公明党統一地方選重点政策(全文)

公明新聞:2015年2月8日(日)付

1、生活者支援の充実

(1)軽減税率の制度設計を進めます

●消費税率が10%へ引き上げられる2017年度から軽減税率制度を導入することをめざし、対象品目や区分経理、安定財源など、早急に具体的な検討を進めます。

●与党税制協議会の下に設置された消費税軽減税率制度検討委員会で早急かつ積極的な議論を促し、具体的な制度設計を進め、本年秋口までに制度案を決定します。

(2)「緊急支援交付金」で地域の消費を喚起し生活を支援します

●「地域住民生活等緊急支援のための交付金」が2014年度補正予算で創設されました。自治体がそれぞれ計画した政策に使える使い勝手のよい「消費喚起・生活支援型」の交付金(2500億円)で、地域の消費喚起と低所得者等の生活支援に取り組みます。

●例えば、一定割合の金額を上乗せして使える地域限定の「プレミアム商品券」、地域外の人が地域の名産品購入や旅行費用に活用できる「ふるさと名物商品・旅行券」の発行で、地域の消費を掘り起こします。

●低所得のご家庭には、灯油購入費の助成、生活用品やバス利用などに使える商品・サービス購入券の交付などができます。

●予防接種や読み聞かせ絵本の購入、一時保育などのサービスに利用できる子育て応援券、子どもの多い世帯に割引率が高くなる特典付きの商品券の発行などで、子育て世代の負担の軽減にも活用できます。

(3)生活困窮者への支援を進めます

●2015年4月の生活困窮者自立支援法施行に伴い、「相互に支え合う」地域を築きます。

●すべての福祉事務所設置自治体で、中学校区1人をメドにコミュニティー・ソーシャル・ワーカー(CSW)など地域福祉コーディネーターを配置します。住民と一緒に、うつやホームレス、多重債務、DVなど制度の狭間や複数の福祉課題を抱え、社会的に孤立している人たちを早期に把握・支援するため、ワンストップで何でも相談できるようにします。
●離職により住宅を失った方などに対しては「住居確保給付金」(家賃相当)を支給。また、就労に必要な訓練を日常・社会的自立などの段階から実施する就労準備支援、支援付き就業機会を提供する就労訓練、さらに家計管理に関する指導などを行う家計相談支援、子どもへの学習支援など、本人の状態に応じた自立に必要な支援を切れ目なく実施します。

●「貧困の連鎖」を断ち切りたい! 子どもの貧困対策推進法により都道府県が子どもの貧困対策計画をつくり、低所得家庭への学習支援等を実施します。

2、人が生きる、地方創生を

~地方版の長期ビジョン・総合戦略作りに積極的に関わります

(1)女性・若者の活躍と人の流れの転換を図ります

<女性の活躍>

●2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%に引き上げる国の目標に沿って、地方の様々な分野で同様の取り組みを促進します。

●子育てなどで離職した女性の再就職を応援。マザーズハローワーク等の拡充を図り、女性の起業支援も推進します。

●女性の健康をバックアップ。特に、がんの検診受診率の向上へ、乳がん、子宮頸がん検診クーポンの配布を継続。市区町村が検診台帳を整備した上で、電話を使った「コール・リコール」(個別に受診を勧める)事業を推進します。さらに、精密検査が必要な人への再勧奨に取り組みます。

<若者の活躍>

●「地域おこし協力隊」の推進や、にぎわい対策など、若者等の活躍による地域活性化を図ります。

●若者の雇用を促進するために、国・企業・学校など関係者の責務を定めた法律を制定し、総合的・体系的に対策を進めます。いわゆるブラック企業などで労働法令違反が繰り返される場合にはハローワークで求人を受理しない仕組みをつくります。若者の正規雇用拡大へ、非正規雇用から正規へ転換するための助成金の拡充・活用、フリーター・ニートなどのトライアル雇用を推進します。

<人の流れの転換>

●UIJターンなど地方居住の希望をかなえるため、居住・就労・生活支援等の情報提供や相談にワンストップで対応する全国移住促進センターを開設。また、地方のUIJ窓口と連携するポータルサイト「全国移住ナビ(仮称)」を創設し、総合的な情報提供体制をつくります。

●地域の中堅・中小企業の競争力強化へ、必要なプロフェッショナル人材の都市圏からの移動を円滑にするUIJターン助成制度を創設。プロフェッショナル人材センターなど人材斡旋機能を強化します。また、地域企業への就職・移住希望者のため、地域の仕事と生活情報を一体的に提供し相談に応じる「地域しごと支援センター」を整備します。

(2)中小企業・小規模事業者、農林水産業、観光業等の振興と雇用創出に取り組みます

<中小企業・小規模事業者>

●地域の中小企業・小規模事業者について、公設研究機関や地域経済の中核を担う中堅企業との連携を進め、研究開発から販路開拓までを強力に一貫支援します。

●全国各地に眠る地域資源(農林水産品、観光資源、技術、伝統・文化など)をブランド化し、都市部や海外で売れやすくするなど、特色ある地域資源を生かしたビジネスモデルを全国に展開します。

●創業から経営ノウハウに至る支援をワンストップで行う「創業よろず支援」を展開するとともに、政府系金融機関による創業者向け融資の拡充、政府による商品の購入を進めます。空き店舗を活用した商店街における商業インキュベーション(卵をふ化させるように起業家の育成や新しいビジネスを支援すること)機能の強化を図ります。

●身近な場所で創業・経営に関する相談ができる体制を整備します。知的財産に関する相談窓口についても強化し、自治体、商工会議所・商工会などの支援機関と中小企業・小規模事業者が連携を深め、事業者の経営改善を進めます。

●地域住民と大学が協力して地域再生・地域づくりに取り組む「域学連携」や、産業界や金融機関などが連携して地域発の産業を創出する「産学金官連携」を推進し、地域密着型企業の創業・経営を応援します。

<農林水産業>

●農林水産物等の輸出額を倍増! 品目別・国別の輸出戦略を着実に実行し、6次産業化など高付加価値化を推進。所得の向上や地域の活性化へつなげます。

●農林水産業において女性、若者、障がい者など、多様な担い手が活躍できるように、新規就農・就業を支援します。また、認定農業者を人・農地プランの中核経営体として育成するとともに、集落営農の組織化・法人化を推進します。

●鳥獣被害対策を強化し、地域資源のジビエ(シカ、イノシシなど野生鳥獣の肉)を生かした地域活性化を推進します。

●都市において多面的な機能を担う都市農業が持続可能となるよう、都市農業振興基本法を制定します。生産緑地制度など都市農業に関する制度の見直しを推進します。

●林業の成長産業化を実現。国産材の安定的・効率的な供給体制をつくり、CLT(直交集成板)など新たな木質材料工法を普及させ、建築物における木材利用や木質バイオマスの利用を推進します。

●水産業の体質強化に向け、省エネ機器・高性能漁船の導入や協業化など、効率的な漁業経営を推進します。また、国産水産物のブランド化・高付加価値化や、手軽に食べられる加工済みの「ファストフィッシュ」など消費拡大に向けた取り組みを推進し、漁業の収益性を向上させます。

<観光業など>

●観光を通じた地域や経済の活性化を進めます。ゴールデンルート(東京~富士山・箱根~京都・大阪)以外の広域周遊ルートの形成、海外のクレジットカードの利用拡大や無料公衆無線LAN(WiFi)環境の整備、外国人旅行者向け免税制度の一層の拡充や免税店の地方への拡大、地方空港における入国管理・税関等の体制の整備・拡充、クルーズ船の円滑な周遊のための環境整備などを推進します。

●2020年オリンピック・パラリンピック東京大会の開催効果を、東京だけでなく全国に波及。地方自治体と参加国・地域との人的・経済的・文化的な相互交流を図るため「ホストシティ・タウン構想」を推進します。

(3)魅力あるまちづくりを進めます


●地域の活力を維持するため、既存の施設などを有効活用しながら医療・福祉・商業等の都市機能や居住をまちなかに誘導するコンパクトシティを形成。「生活の足」である地域公共交通ネットワークの再構築と活用を図ります。

●中山間地域などで、商店、診療所など生活サービス施設を一定の範囲に集めた「小さな拠点」づくりを進めます。周辺集落と交通ネットワーク等で結び、生活機能の維持等を図ります。

●日用品等の購入が困難な「買い物弱者」が増えています。対策強化、事業の立ち上げに必要な資金の補助等、買い物支援サービスなどを推進します。

●「空家等対策の推進に関する特別措置法」を基に、使用できる空き家は地域の活性化のために利活用。一方で、周囲に迷惑をかけているような空き家は除却を促します。

3、支え合い、一人を大切 にする社会へ

(1)「地域包括ケアシステム」を進めます

●消費税財源による「地域医療介護総合確保基金」を活用して、在宅医療・介護の連携を進めるため、在宅医療・介護連携支援センターを設置。地域の包括的かつ継続的な在宅医療、介護の提供体制をつくります。また、地域密着型サービス施設などの整備を進め、介護人材の確保に向けてはキャリアアップ研修の支援や、介護人材の労働環境、処遇の改善を図ります。

●定期巡回随時対応型訪問介護・看護、複合型サービス、小規模多機能型居宅介護サービス、訪問介護など、在宅医療・介護を可能とする基幹的サービスを全市町村で進めます。

●既存の介護事業所によるサービスに加え、買い物代行、外出支援、その他日常生活の援助を、NPO、民間企業、ボランティアなど地域の多様な支え手によって行う新しい地域支援事業を強力に進めます。

●有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の整備を促進し、介護サービスとの組み合わせで安心の住まいを確保します。また、空き家の活用などにより、低所得の高齢者のための住宅の提供と家賃補助制度の導入を進めます。

●認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けた国の「認知症施策総合戦略」に基づき、認知症が疑われる早期の段階から診断やサービスの相談が受けられるよう訪問支援を行う「認知症初期集中支援チーム」をすべての市町村で設置します。認知症の様態に応じた適時・適切なサービスが受けられる体制をつくります。

(2)子ども・子育て支援新制度の実施など子育て支援を充実させます

●「チャイルドファースト社会」(子ども最優先の社会)をめざし、待機児童解消加速化プランを進めます。2013年度から2017年度にかけて40万人分の保育の受け皿を確保し、待機児童を解消します。(2015年度は8万人分を確保)

●2015年度から本格的に実施される「子ども・子育て支援新制度」を着実に推進し、保育士の確保・処遇改善等を推進します。

●妊娠・出産、そして出産直後の母と子をサポートする産後ケアと切れ目のない支援を推進するとともに、利用者負担の軽減に取り組みます。市区町村において、母子保健相談支援事業をはじめ、産後ケア事業、産前・産後サポート事業を推進します。

●国が学童保育の定員数を2015年度から5年間で約30万人拡充することにより、すべての自治体において、学童保育における待機児童問題を解消します。また、子どもたちが安心・安全な居場所を確保するために、「放課後子ども総合プラン」の実施を進め、放課後子供教室のすべての小学校での実施をめざします。施設・指導員の配置、内容等の充実を図ります。

●児童虐待をストップ! 乳児健康診査を受けていない未健診児、不登校児の調査を早期に実施。関係機関が連携して児童虐待等への対応を行う「要保護児童対策地域協議会」の設置を促進し、活動内容を充実します。

(3)障がい児・者、難病患者等への支援を強化します

<障がい児・者への支援>

●障がい福祉サービスの利用には、相談支援事業者が作成する「サービス利用計画」が必要。そのため、基幹相談支援センターを中核とした市区町村における相談支援体制を整備します。また、障がい者の地域移行、地域定着へ、地域相談体制の整備を図ります。

●障がい者の重度化・高齢化や「親なき後」を見据え、居住支援のための相談、地域居住体験の機会提供、緊急時の受け入れ、地域の体制づくりなどを総合的に行う多機能の拠点整備を進めます。

●精神障がい者の地域移行、就労支援、家族支援を強化します。

●障がい児支援については、子ども子育て支援新制度や特別支援教育施設と十分な連携を図り、重層的・継続的な支援に。障がいを早期に発見し、早期に療育支援を行う体制を充実させるとともに、発達障害支援センターの地域支援機能の強化等を図ります。

<難病患者等への支援>

●難病医療法・改正児童福祉法により、医療費助成が受けられる指定難病を従来の56から約300疾病へ、子どもの難病についても514から704疾病へと拡大します。

●難病の治療法の研究開発を強力に進め、各都道府県に難病医療の拠点病院や地域基幹病院を整備。都道府県の難病相談支援センターを充実・強化し、難病患者の生活・就労支援を実施。子どもの成長に合わせて、相談支援や療育・教育・就労支援等を行う自立支援事業をスタートさせます。

●難病患者等も障がい児・者の範囲に加えられたことから、難病相談支援センター等と連携し、漏れのない障害福祉サービスを提供します。

(4)教育を充実させます

●少人数学級および少人数教育の一層の定着化を図り、子どもたち一人一人の個性や学習状況に応じた、きめ細かな教育を推進します。

●新しい教育委員会制度のもと地方教育行政の責任体制を明確化。いじめなど学校現場で発生する問題への危機管理体制の構築を図ります。

●教員と専門家がチームを組んで課題に対処するチーム学校や、地域ぐるみで子どもたちの抱える問題に取り組むコミュニティ・スクールの導入を進めます。

●障がいのある子どもが能力に応じた教育を受けられるよう特別支援学級の設置を推進。ハード・ソフト両面のバリアフリー化等の整備を進めます。また、公立夜間中学の全都道府県への設置、フリースクールを公的に支援する仕組みづくりなど、多様な教育機会の確保・充実に取り組みます。

●公立小中学校の耐震化を2015年度末までにほぼ100%達成(廃校舎などを除く)させます。天井や窓ガラスなど非構造部材の耐震化や公立より遅れている私立学校の耐震化も推進します。

●子どもたちが本物の芸術・伝統文化に触れる「文化芸術による子供の育成事業」や「伝統文化親子教室事業」、様々な体験学習の充実を図ります。

●家庭の経済状況が厳しくても大学や専門学校などに進学できるよう、授業料減免の充実、無利子奨学金の枠拡大、所得連動返還型無利子奨学金制度の拡充、返済不要な給付型の奨学金創設などを推進します。

4、安心・安全な地域を

(1)東日本大震災からの復興を加速します

●復興の進展にあわせ、被災地・被災者の視点に立った、きめ細かな対策を。2015年度までの「集中復興期間」以降も、残された課題等を見極めつつ、個々の被災地域の実情・視点に立って、将来に向けた展望・ビジョンに合わせた施策を展開できるよう財源を確保します。

●福島の再生に向けては、原発事故の収束や廃炉・汚染水対策、除染、賠償、帰還支援など広範な課題があります。これらを整理した再生プランを基に、被災者の理解が得られるよう丁寧に取り組み、ふるさと帰還を進めます。また、国内外への放射線に関する正確な情報提供の強化など、風評被害対策を強化します。

●復興に向けたまちづくりとともに、農林漁業、水産加工業などの主力産業の振興を支援し、活力ある地域経済の再生に取り組みます。特に、福島では浜通り地区における「福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想」を早期に具体化。「再生可能エネルギーの世界的な先進地=福島」に向けた取り組みを加速します。

●復興の進展にあわせ、変化・多様化する被災者の方々の心身の状況に応じて、きめ細かな健康・生活支援策を講じます。

(2)各地で防災・減災対策を推進します

●高度成長期以降に整備したインフラの老朽化が急速に進んでいます。橋や上下水道、道路、公営住宅、学校などの保全、改修、耐震化を推進します。

●1000ミリを超える大雨やゲリラ豪雨(例えば100ミリ/時に迫る局地的な豪雨)等により、水害・土砂災害が多発しています。河川の流下能力強化等の予防的な水害・土砂災害対策の推進、想定し得る最大規模の降雨を前提としたハザードマップの見直し、流域貯留浸透事業の推進(ため池等の治水容量を確保するための池底掘削を含む)、地下街への浸水対策に取り組むとともに、被災地域については集中的に対策を進めます。

●広島での豪雨土砂災害を受け、土砂災害防止法に基づく基礎調査を早期に完了させます。また、御嶽山の噴火を受け、火山観測体制を強化します。

●南海トラフ巨大地震や首都直下地震などの巨大災害が切迫しています。ハード・ソフト一体となった地震・津波対策、住宅・建築物の耐震化、密集市街地の改善・整備などに取り組みます。

●地域の防災力を高めます。都道府県・市区町村の地域防災計画と連携した地域の特性に合わせた地区防災計画(災害時要援護者対策や女性の視点を含む)を着実に進めるとともに、防災訓練の実施を支援します。「防災隣組」や「防災見守り隊」など、自主防災組織の結成と育成支援を進めます。

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