主張インド洋大津波10年 防災協力で世界のリード役に

公明新聞:2014年12月26日(金)付

2004年12月にインド洋大津波が発生して、きょう26日で10年になる。

インドネシア・スマトラ島沖を震源とするマグニチュード9.0の巨大地震とそれによる大津波によって、約23万人の死者・行方不明者が出た。残念なことだが、その後もアジア地域に自然災害の被害が集中している。

アジア防災センターによると、1986年から2011年までの統計で、1000人を超える死者・行方不明者を出した自然災害は世界中で60回発生し、そのうち42回がアジア地域だった。

災害救助と復旧、さらに防災のための国際協力は着実に進んでいるものの、開発途上国が取り組んでいる「災害リスクに強い社会づくり」については、まだまだ多くの課題がある。

地震、津波、火山噴火、風水害など種々の自然災害に繰り返し見舞われてきた日本は世界でも有数の災害国である。しかし、災害発生の度に乗り越えてきた。その貴重な経験と技術力を生かし、災害復興と防災対策の協力で世界をリードする役割が期待される。

世界は自然災害で毎年2億人が被災し、年間平均1000億ドルを超す経済的損失を受けている。防災対策は国際社会の最重要課題である。

災害は、国や地域社会が懸命に積み上げてきた成果を一瞬にして奪う。

05年に神戸市で開催された国連防災世界会議で採択された兵庫宣言は「災害は、貧困削減へ向けたあらゆるレベルの努力を著しく損なう」と述べ、開発援助の主要テーマである「貧困撲滅」と「持続可能な開発」に加え、防災を含めた三者を「密接不可分な関係」と位置付けた。

この認識は国際社会で着実に共有され、国連開発計画(UNDP)が今年7月に発表した報告書でも、大規模自然災害に対する「強靱な社会の構築」がテーマの一つに掲げられた。

日本は政府開発援助(ODA)による途上国支援に際して、防災の視点を取り入れている。その中で、「災害リスクに強い社会づくり」を現地で担う人材の育成を積極的に進めている。こうした協力をさらに広げていきたい。

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