主張訪日観光客の増加 急がれる受け入れ体制の整備

公明新聞:2014年11月20日(木)付

訪日外国人観光客は、昨年に続き、今年も1000万人の大台を超えた。

日本政府観光局によると、今年1~10月に日本を訪れた外国人は、前年同期比27.1%増の1100万9000人(推計値)に上る。

2003年に国土交通省が中心となり、外国人旅行者の訪日を促進するビジット・ジャパン事業を始めて以来、訪日外国人は急速に増大。太田昭宏国交相も昨年6月、観光立国をめざす「アクション・プログラム」を発表し、東南アジア諸国から訪れる観光客のビザの発給要件の緩和などを実現した。今年は昨年よりも2カ月早く1000万人を突破。最終的には年間で1300万人程度になると見込まれている。

政府は東京五輪に向け、20年までに訪日外国人を2000万人にするという目標を掲げているが、今のところ目標を上回るペースで増え続けている。

訪日外国人の増加がもたらす経済効果は大きい。政府観光局の推計では、昨年の訪日外国人の旅行消費額は1兆4167億円に達する。訪日外国人による買い物や飲食、宿泊、交通移動などの消費が、日本の景気の下支えに貢献しているといっても過言ではない。訪日外国人が国内で使う金額から、日本人が海外で支払う金額を差し引いた「旅行収支」も今年4月、約44年ぶりに黒字に転じた。

とはいえ、国連世界観光機関などの調査に基づき、政府観光局が作成した「外国人旅行者受入数ランキング」を見ると、日本はまだ世界で33位、アジアで8位にとどまっている。

政府観光局が昨年3月に公表した調査報告書によると、外国人観光客が日本滞在中に不便と感じたことは、主に「言葉(英語が通じない、英語の標識や英語の説明表示が少ない等)」「交通(料金やルートがわかりにくい、英語の案内表示が少ない等)」「通信(無料公衆無線LANの設備が少ない等)」であるという。山口那津男代表は先月の参院代表質問で、外国人にも分かりやすい道路標識の整備、無料公衆無線LANの整備促進などを政府に求めたが、国を挙げて体制整備を急ぐべきだ。

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