主張がん教育 先進事例検証し全国に展開を

公明新聞:2014年10月18日(土)付

がんに関する正しい知識を学び、いのちの大切さについて考える「がん教育」が、各地の小中高校で広がりを見せている。

例えば、京都府や秋田県では昨年度から、医師とがん経験者が授業で講師役を務めている。大阪府でも来年度から、モデル事業として複数の中学校でがん教育を実施する方針だ。自治体独自の取り組みを歓迎したい。

日本人の2人に1人が、がんになる時代である。それだけに、子どもたちが健康の大切さと同時に、がんに関する正しい知識や患者に対する偏見を持たないようにするための機会を教育の現場で設ける必要がある。

しかし、実際には保健体育の授業で生活習慣病の予防や喫煙などの有害性を学ぶ際、他の病気と併せて紹介される程度ではないだろうか。国が定めた「がん対策推進基本計画」は、子どもたちが理解を深めるためには不十分だと指摘している。公明党が、がん教育の重要性を訴えているのはこのためである。

がんを正しく理解すれば、大人に成長してから検診の受診率アップが期待できる。闘病生活を送る人々の体験談を聞くことで、健康や体調管理に関心を持つきっかけになるはずである。

文部科学省は現在、医療や教育分野、がん経験者などの有識者による検討会で、がん教育のあり方を議論している。今年度は、がん教育の基本方針を取りまとめる予定だ。今秋から3年間、各地の小中高校でモデル授業も展開し、教育内容の改善や教材開発につなげる。先進事例や事業で浮かび上がった課題などを十分に検証して、全国的な普及に生かしてもらいたい。

がんを発症する原因などの説明は専門知識がないと難しい。実施に当たっては、医師やがん経験者らを外部講師として招き、協力を得るなど指導方法の工夫が必要である。児童や生徒の中には、小児がんの当事者や経験者、がんを治療している家族がいる場合もある。授業では、こうしたケースにも配慮すべきだ。

基本計画では、2016年度までに、どのように教えるか検討し、実施する予定になっている。学校現場で質の高い授業を実現してほしい。

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