主張地方の公立大学 地域活性化推進の一翼担え

公明新聞:2014年10月15日(水)付

総務、文部科学の両省は、自治体と公立大学が連携した地域活性化策を検討するため、公立大学の大学長や自治体関係者、有識者らをメンバーとした研究会を発足させた。

研究会は、全国の公立大学を対象にアンケート調査を実施して、地元企業や金融機関などと連携した地域活性化への取り組み事例を集める。

地方には、空洞化が進む商店街の再生プロジェクトに参画して研究者や若者の視点から改善策を提案したり、県内企業との共同研究で新商品の開発や生産技術の改善に貢献している県立大学もある。

研究会では、各地の事例を他の公立大学や自治体に紹介していく。総務省は、公立大学が地域貢献を進めていく上で必要があると判断した場合、自治体に対する財政支援策を検討する方針だ。

地方の公立大学は、学術・研究機関として高度教育を受ける機会を提供している。今後も、この役割は変わらないだろう。ただ、将来的に地方都市の消滅が指摘されている今、専門分野に精通した人材と知的蓄財を生かし、地元企業と連携した街づくりを進める社会的要請も高まっているのではないだろうか。

特に、地域に人材を供給する期待は高い。卒業生を地元企業への就職にスムーズにつなげることができれば、大きく貢献できる。

例えば、複数学部を有する国立大学の中で、7年連続で就職率全国1位を占める福井大学は、県内の企業と連携した企業見学ツアーや合同説明会で多くの出会いの場を提供している。地域の課題をめぐるワークショップを授業に取り入れたり、中小企業の魅力を紹介する取り組みなどが実って地元企業への就職率が高い。

大学を取り巻く環境は厳しい。2018年から18歳人口が急減することが予想されており、入学者の減少に直面する。少子化に伴う受験人口の減少は、地方の公立大学も無縁ではない。大学の魅力を高めたり、地域貢献度を強めるなど、生き残るための構想を着実に進める必要があるだろう。

その取り組みが、結果的に地域の活性化に寄与する。ぜひとも、地方創生の一翼を担ってもらいたい。

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