主張持続発展教育 地域と連携強め担い手育成を

公明新聞:2014年10月11日(土)付

今年は、国連が定める「持続可能な開発のための教育(持続発展教育、ESD)の10年」(2005~14年)最終年にあたる。環境保全や他文化への理解などを通して、地球市民としての価値観を育むESDの意義は大きい。さらなる取り組みの強化を図っていきたい。

ESDは、02年の環境開発サミットで日本が提唱し、ユネスコ(国連教育科学文化機関)主導で各国が取り組んできたものだ。国内では、総合学習の時間などを通して、環境や防災、平和などの幅広いテーマを学んでいる。ESDへの共感は着実に広がっており、ユネスコの理念に沿った教育を行う「ユネスコスクール」は、06年の20校から世界最多の705校(今年8月時点)まで拡大した。

かつて大気汚染による健康被害が訴訟に発展した大阪市西淀川区では、和解金の一部を基に設立された財団がESD推進の一翼を担う。原告と被告側企業の従業員らが講師として演壇に立ち、公害という言葉がほとんど知られておらず、法規制もない時代に行われた訴訟の苦しみなどを伝えてきた。

当事者が語る体験の重みと影響力は計り知れない。共感は多くの地域住民に広がり、西淀川区では現在、良好な環境保全を軸とした地域おこしが進められ、財団には、環境問題に関心を寄せる国からの研修生も訪れる。

このほかにも、宮城県気仙沼市では東日本大震災を機に防災教育を強化し、地域再生を担う人材の育成を進めるなど、全国で特色ある取り組みが進んでいる。

来月には、岡山市と名古屋市で開かれるESDユネスコ世界会議で、この10年の成果がまとめられ、来年以降の後継プログラムが議論される。今後は、地域との連携強化や教育者の育成などが施策の柱となる。

近年、各国の経済発展に伴い環境保全の必要性が叫ばれ、ESDにかかる期待は一層高まっているといってよい。公明党の荒木清寛参院政策審議会長が8日の参院予算委員会でESDへの支援拡充を訴えたのもこのためだ。公明党は、これからも持続可能な社会の担い手育成を全力で進めていく決意だ。

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