WHO報告 胃がんの8割がピロリ菌

公明新聞:2014年10月1日(水)付

ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)

公明主導の保険適用拡大を先進事例として評価

世界保健機関(WHO)の専門組織「国際がん研究機関」は9月24日、全世界の胃がんの約8割がヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)の感染が原因であるとの報告書を発表した。公明党と共に胃がん対策に取り組んできた北海道大学の浅香正博特任教授は、「国際機関が今回初めて断定し、胃がんの予防に除菌の効果を認めた点が重要だ」と強調している。

除菌で3~4割減少

報告書では、ピロリ菌の除菌で胃がんの発生を3~4割減らせるとして、各国の事情に応じて、除菌による胃がん予防対策を検討するよう求めた。また、全胃がんの78%、特に日本人に多い噴門部(胃と食道のつなぎ目)以外の胃がんでは、89%がピロリ菌が原因だと推定されるとしている。このほか、2012年には東アジアを中心に、世界で約100万人が新たに胃がんを発症し、約72万人が死亡したとも伝えた。

ピロリ菌の年代別感染率日本人のピロリ菌感染者は約3500万人ともいわれる。水道などの衛生環境が整っていなかった時代に幼少期を過ごした年齢層に感染者が多い【グラフ参照】。胃がんは日本人が最も多くかかり、年間12万人余りが発症、死者数は年間約5万人と推定されており、がんの死因2位となっている。

日本ではこれまで、ピロリ菌除菌の保険適用は胃潰瘍や十二指腸潰瘍に症状が進行していなければ認められなかったが、2013年2月からは、呼気検査などでピロリ菌感染を調べ、内視鏡で慢性胃炎と診断された人には、除菌治療を保険適用とする対策が講じられた。浅香特任教授は「保険適用後、除菌した人が年間100万人を超えた」と評価しており、20年には胃がんによる死者数が大幅に減ってくるとの見通しを示している。

胃がん対策について公明党は、10年12月から浅香特任教授らと連携して取り組みを強化。11年2月には秋野公造参院議員が質問主意書で胃がんとピロリ菌の関連性に言及し、政府に胃がんの発生原因はピロリ菌であることを初めて認めさせた。国会質疑でもピロリ菌検査の実施を粘り強く働き掛けてきたほか、党としてもピロリ菌除菌への保険適用を求める署名運動を展開し、100万人を超える賛同の声を国に届けるなど、保険適用を強く後押しした。

今回の報告書でも、公明党が主導したピロリ菌除菌への保険適用を、慢性胃炎患者にまで拡大したことを先進事例として紹介し、評価。今後、世界で胃がんによる死者数の減少が期待されている。

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