地域を守る 防災士5000人

公明新聞:2014年9月5日(金)付

シェイクアウト訓練で、机の下で身を守る児童らシェイクアウト訓練で、机の下で身を守る児童ら

備える意識の向上へ
大分県

5000人を超える防災士が県民の命を守る―。大分県は現在、災害に強い地域づくりをめざし、防災士資格の取得や育成に力を入れている。その数は今年に入って5000人を突破し、都道府県別の数は東京都に次ぐ第2位となっている。人口比では全国一。今月1日の「防災の日」には、九州で初となる大規模「シェイクアウト(地震の揺れに備えよ、との造語)訓練」も大分市内で行われ、20万人を超す市民が参加した。防災士をけん引力に、“防災力日本一”をめざす同県の取り組みを追った。

大分市では20万人が参加 「シェイクアウト訓練」も

地域住民らと避難経路の確認をする戸高県議防災士は、特定非営利活動法人(NPO法人)「日本防災士機構」が認証する民間資格。災害への知識や技能を生かして地域を守る防災リーダーだ。

臼杵、佐伯両市を中心に海岸に面した地域が多い大分県は、南海トラフ沖地震が起きた場合、地震や津波による甚大な被害が予想される。防災意識は高く、同県には現在、約3800の自主防災組織などがある。しかし、その責任者は自治会長が兼務してきたため、「防災活動が十分にできていない地域もあった」(県生活環境部消防保安室の斉藤和郎室長)のが実情だ。

転機となったのは、2011年の東日本大震災。広瀬勝貞知事は「大変な衝撃を受けた。県民一人一人の防災意識の向上がますます重要だと気付かされた」と振り返る。また、九州北部豪雨(12年)などの大規模災害も経験し、あらためて災害時の避難や避難所の運営、近隣住民の協力といった“共助”のあり方がクローズアップされた。と同時に、その要となる自主防災組織の活性化が急務に。実際に、防災組織がしっかりと機能した地域は人的被害が少なかったことから、防災士養成が緊急課題となった。

公明、対策強化に全力

そこで県は12年度、全ての自主防災組織に最低1人の防災士の確保を目標に、防災士の養成講座を各市町村で開催。費用などは県や市町村が全額負担した。12年度の1年間で30回以上の講座を開いた結果、2770人の防災士が誕生した。その後も毎年講座を開き続け、防災士を輩出してきた。

別府市平田町自治会で役員を務める星野隆司さん(72)は、「防災士の数が全国でトップクラスというのが誇り。県民の高齢化が進む中で、防災士の重要性はますます高くなっていく」と話していた。

県の防災対策については、公明党の戸高賢史議員が議会質問を通し、防災士の重要性や自主防災組織の充実を粘り強く訴えてきた。

県民の防災意識向上へ向けた取り組みも進めている。1日の「防災の日」には大分市内各地で、一斉にシェイクアウト訓練を実施。職場や学校、家庭などそれぞれの場所で行われ、人口の4割に相当する20万人以上の市民が参加した。訓練に参加した市立荷揚町小学校(南悦子校長)の児童らは「サイレンが鳴ったときは緊張した。本当に災害が起きたとき、落ち着いて行動できるようにしたい」と話していた。市総務部防災危機管理課の佐藤真人主査は、「大きな地震を想定し、本番さながらの防災訓練をすることで、一人一人の災害意識の向上をめざす」と語っていた。

現在、県内の防災士の数は5325人(7月1日現在)。女性の防災士はそのうち496人で、今後は、女性防災士の増員が課題だ。また、県内約3800ある自主防災組織などのうち、防災士が確保されている割合はおよそ6割程度。全ての組織に1人の防災士の配置には至っていない。万が一に備えた万全の対策の確立に向けて、県は取り組みを加速させている。

安全・安心守る減災社会築く

大分県知事 広瀬 勝貞氏

災害への備えには、地域での「自助」「共助」「公助」が、適切な役割分担のもとに機能する社会づくりが必要不可欠です。大分県は、防災士の育成に力を入れてきたことにより、地域での避難訓練の実施率が11年度に20.7%だったのに対し、13年度には42.1%に上昇。飛躍的な効果が表れています。

災害の発生そのものを防ぐことは不可能ですが、それに耐え得る備えは可能です。南海トラフ沖地震が起きた場合、県の想定死者数は2万2000人とされており、深刻な被害が予想されます。そのため、県として「大分県地震・津波アクションプラン」を制定しました。これは、2018年までに南海トラフ沖地震による想定死者数を700人以下に、そして限りなくゼロに近づけることが目標です。

なお一層、全県民が安心できる、安全な減災社会を築いていけるよう努力していきます。

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