主張人道支援活動 文民要員の安全確保に貢献を

公明新聞:2014年8月25日(月)付

全世界で約1億8000万人が人道支援を必要としている。その一方で、支援に従事する要員への暴力行為は深刻で、昨年は死者155人を含む460人が被害に遭った。前年の約1.7倍であり、2006年以降で最悪を記録した。

国連人道問題調整事務所の神戸事務所が、民間の人道支援研究専門家チームの調査として「世界人道デー」の19日に発表した。人道支援要員は銃撃、誘拐、暴行、爆発物の危険にさらされている。

国連の人道機関、赤十字、国際NGO(非政府組織)が取り組む人道支援は原則として文民によって実施される。武器を持たずに、紛争地で人々に寄り添って活動する人道支援要員の安全確保は重要な問題である。

国連平和維持活動(PKO)に関しても、1990年代から軍事要員と文民要員が共に活動する複合型PKOが増えているため、文民の人道支援要員の安全確保は任務遂行の条件となっている。92年からPKO参加の実績を重ねてきた日本も、この問題にどう貢献できるか真剣に考えなければならない。

新しい安全保障法制の基本方針を定めた7月1日の閣議決定は、自衛隊による国際貢献を論じる中で「PKOなどの国際的な平和協力活動に十分かつ積極的に参加することが重要」として、国連やNGOの文民要員を守るため、「駆け付け警護」に伴う武器使用ができるよう法整備をする方針を示した。

「駆け付け警護」は、自衛隊の活動場所の近くで文民が武装集団などに襲われた場合、駆け付けて守る行為だ。現在は武装集団が正規軍など「国家や国家に準じる組織」(国準)であれば、他国との交戦になり、憲法が禁じる海外での武力行使に当たる恐れがあるとして認めていない。

閣議決定は、PKO協力法は当事国の派遣同意が条件であり、当事国以外に国準が存在することは基本的になく、それは20年間の経験で裏付けられるとして「駆け付け警護」を認めることにした。

法的にも実務的にも妥当な考え方である。この方針の下、日本が人道支援要員の安全確保に貢献できるよう検討を進める必要がある。

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