主張日本食品の輸入規制 科学データ示し風評の払拭を

公明新聞:2014年8月15日(金)付

中国・香港で14日から5日間の日程で、アジア最大級の国際食品見本市「フード・エキスポ2014」が開かれている。

会場では、日本の農林水産省がブースを設け、岩手県産のホタテや宮城県産のみそを使った調理デモをはじめ、福島県産の日本酒の試飲などを行っている。東日本大震災の被災地の特産物を中心に、日本食品の魅力と安全性をアピールするのが狙いだ。

香港は、日本にとって農林水産物・食品の最大の輸出先であり、輸出額(13年)は1250億円に達する。

しかし、香港は東京電力福島第1原発事故の後、放射性物質の影響を理由に、福島、茨城、栃木、群馬、千葉の5県で生産された野菜や果実、乳製品の輸入を禁止している。

こうした輸入規制は、科学的な根拠が乏しく、日本の農水産物や食品の輸出拡大をめざす上で大きな支障になっている。

見本市での広報活動を通して日本の食べ物の安全性を力強く発信し、規制の撤廃や緩和につなげてほしい。

農水省によれば、日本の農水産物や食品に何らかの輸入規制を設けているのは、香港を含め41カ国・地域に上る。原発事故の直後に比べれば徐々に減ってはいるが、まだまだ多い。風評被害の根強さがうかがえる。

政府は、相手国・地域に科学的なデータを提示しながら、粘り強く規制の撤廃・緩和を求める交渉を進めていかなければならない。自治体や企業・民間団体の取り組みも欠かせない。

例えば、原発事故後、福島県産のモモが規制によってタイ国内に輸出できなくなった。そこで、自治体や企業で構成する福島県貿易促進協議会などは、タイの食品関係者らを招き、モモの放射性物質検査の様子を見学してもらったり、生産者との意見交換会を開催。風評の払拭に取り組んだことも後押しとなり、12年9月から輸出再開にこぎ着けた。今では、福島県産の品質の良さが好評を博し、事故前を上回る輸出量になっているという。

食品の輸出拡大は政府の成長戦略の柱の一つだ。被災地の特産品の輸出を促進させ、復興の弾みにしていきたい。

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