アレルギー疾患対策基本法

公明新聞:2014年8月13日(水)付

学校給食事故の再発防止策について議論する江田、古屋の両氏ら=2013年2月 衆院第2議員会館学校給食事故の再発防止策について議論する(向こう側右から)江田、古屋の両氏ら=2013年2月 衆院第2議員会館

法律制定 そのとき公明は

“国民病”ともいわれるアレルギー疾患の対策を総合的に推進する「アレルギー疾患対策基本法」。6月20日に同基本法が成立した陰には、苦しむ患者のために執念を燃やし続けてきた公明党の闘いがあった。

患者の声を条文に反映。国民病制圧へ執念の推進

「私がいなくなったら、この子は生きていけない」「何よりも治療薬を!」

公明党アレルギー疾患対策プロジェクトチーム座長の江田康幸と、同事務局長の古屋範子(ともに衆院議員)を基本法制定へと突き動かしてきたのは、患者や家族らの心の底からの叫びだった。

ぜんそくやアトピー性皮膚炎、花粉症などのアレルギー疾患は、国民の約半数がかかっているとされる。しかし、同疾患に対する医療の地域間・病院間格差は大きい。「アレルギー科」を標榜しながら、エビデンス(根拠)に基づいた適切な治療を行っていない病院もある。子どもの場合には、疾患が原因でいじめに遭ったり、ひきこもりになったケースさえある。

このため、公明党は2000年、対策の充実を求める約1464万人分の署名簿を政府に提出。01年には江田らが総合対策を盛り込んだ「アレルギー制圧10カ年戦略」を提唱し、2億円から100億円への予算増額、治療・研究施設の整備、学校での対応を示した「ガイドライン」の策定、重いアレルギー症状を和らげる注射薬「エピペン」の保険適用などを強力に進めた。

また、初当選前の古屋が携わった党神奈川県本部の実態調査(03年)をはじめ、全国各地で調査や署名運動も展開した。その中で、党内に一つの共通認識が形成されていった。「総合的かつ永続的に対策を進めるには基本法が必要だ」。

公明党が法案作成に着手したのは、08年のことだった。日本アレルギー学会や患者団体と連携し、患者らが強く求める「全国どこでも適切な医療・相談を受けられる体制の整備」「大気汚染の防止や食品表示の充実など、省庁を超えた生活環境改善策の実施」「予防や治療の研究の推進」などを条文に掲げた。医師や学校の責務も明確化した。

10年5月、公明党は参院に法案を提出したが、参院選の影響で廃案に。11年8月、今度は自民党と共同で衆院に法案を提出。併せて、江田、古屋は各党に共同提案を申し入れ、説明に回った。法案は大方の賛同を得た。だが、審議の機会に恵まれず、12年11月の衆院解散で再び廃案となった。

しかし、事態は一刻の猶予も許されなかった。12年12月、東京都調布市の小学校で、食物アレルギーのある児童が給食後に死亡する事故が発生したのだ。江田は各党の議員に訴えた。「このような事故を二度と起こしてはならない。今こそ基本法を!」。古屋も議員らの関心が高まっているのを実感した。

自公は13年5月、法案を衆院に再提出。法案は、14年5月に6党の共同提案として審議入りし、衆参ともに全会一致で可決された。

来年末までの基本法施行に向け、江田は「患者の一番の望みである医療機関の整備や治療薬の開発を加速させる」と意気込む。古屋の決意も固い。「各地域で対策の実効性を高めるために、地方議員との連携を強めたい」。

(文中敬称略)

公明党に深甚の謝意

日本アレルギー学会 西間三馨 元理事長

私たちアレルギー疾患に関わる医療関係者が熱望してきた法律が、苦節6年、ついに成立しました。近年、疾患が増加の一途をたどる一方、アレルギー科の標榜や専門医の存続すら流動的であったため、対策の背骨となる法律の必要性を痛感したことが、基本法作成の契機となりました。

学会としても、法律が実りあるものとなるよう力を尽くします。食物アレルギーや花粉症などが急増する今、本法律が日の目を見たことは関係者一同、喜びに堪えません。

特に、何度も廃案になる中で辛抱強く、かつ積極的に動いていただいた公明党には深甚の謝意を表したいと思います。

各地域で着実に実行を

NPO法人・アレルギーを考える母の会 園部まり子 代表

公明党は、一人の患者の声を大切にしながら、真剣に、一貫してアレルギー疾患対策に取り組んでくれました。今回の基本法制定にも本当に感謝しています。

現在、まだ多くの患者が適切な医療を受けられずに苦しんでいます。また、自治体の対応もまちまちで、中にはアレルギー疾患の子どもを公立保育所が受け入れない事例もあります。

患者への適切な医療や対応、相談支援、情報提供を進めるためにも、今後は特に公明党の地方議員の皆さんが、法律に基づく取り組みを各地域で着実に実行されることを望んでいます。

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