主張子どもたちに正確な知識を

公明新聞:2014年7月31日(木)付

理念や内容の理解深める教材作成

社会保障教育で報告書

「社会保障はなぜ必要か」「公的年金はどんな仕組みか」。年金、医療、介護など社会保障について、次世代の主役となる子どもたちが、当事者意識を持ち、的確な知識を得るために、社会保障教育は重要である。

厚生労働省は、2011年10月から「社会保障の教育推進に関する検討会」(座長=権丈善一慶應義塾大学教授)を開催し、社会保障教育の在り方について、9回にわたり議論を重ねてきたが、このほど、その結果がまとまり、報告書が公表された。

社会保障について、報告書は、「正しい理解に基づく情報と、そうでない情報が世の中に混在して流れており、ともすれば後者の情報の方が広く常識として信じられている」と指摘し、的確な教材によって、「正しい事実」や「大切なこと」を教師や生徒に伝える必要性を強調している。

現在、高等学校で社会保障に関連する内容は、公民科と家庭科で学習されることになっている。ただ、授業時間は3年間で2コマ(1コマ=50分)もしくは3コマと少なく、「制度の説明に偏り、考えさせる授業の展開が難しい」「ほとんどの生徒が社会保障に対して関心、興味がない」「教師もよく知らない場合が多い」というのが現場の声である。

報告書では、こうした現状を打開しようと、重点的に学習する必要のある項目を、生徒が理解しやすいように、社会保障の理念(成り立ちや考え方)・内容(保険制度の意義や必要性)・課題(制度に影響を及ぼす社会の現状)を中心に整理した。

注目されるのは、この3項目に基づいて、「社会保障って何?」「政府の役割と社会保障」「公的医療保険って何だろう?」「公的年金」など、DVDを含む標準的な教材を作成し、公開したことだ。これらの教材が、教科書づくりに反映され、教育現場で普及していくことが期待されている。また、文部科学省が、小・中・高校の学習指導要領の改訂をめざしていることから、改訂を検討する中央教育審議会で、今回の報告書の方向性を参考にするよう提言している。

民主党が、年金など社会保障を「政争の具」にしたことは記憶に新しいが、国民が正しい知識を持つようになれば、誤報や曲解を見抜くこともできるはずだ。

世代を問わず、正しい知識を持って、社会保障を読み解く力を養う上で、社会保障教育の強化に取り組む必要がある。

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