主張農協改革 競争力強化へ徹底議論を

公明新聞:2014年6月30日(月)付

活力ある農業は女性・青年の登用で

農業協同組合(JA)の中央会制度の存廃が焦点となっていた農協改革問題は、先ごろ閣議決定した規制改革実施計画に、中央会制度の自律的新制度への移行が明記され、具体的内容について今年度中に結論を得ることになった。

農協改革については、規制改革会議のワーキンググループが5月にまとめた提言で「中央会制度を廃止」と打ち出した。中央会の経営指導が地域農協の自主性を縛っているとの認識からだが、JA側は猛反発した。自立組織であるJAの解体につながる唐突な提案に、農業者が不安に陥るのは当然だろう。JA側は、与党で意見を調整し決定した規制改革実施計画には、「徹底的な議論」を早急に行うと受け入れを表明、一応の決着をみた形となった。

中央会制度は1954年、経営危機に陥った農協組織の再建をめざし、経営指導を行うことを目的に全国と都道府県ごとに設立された。発足当初は1万超あった地域農協は現在、700程度まで減少。さらに、中央会自らは経済活動を行っていないことや、信用事業は農林中央金庫に指導権限が付与されていること、競争力強化に向けた取り組みが遅れているといった指摘から、改革が求められていた。

今回の改革に当たり与党は、農協が農業者の所得向上に資する組織だと認識されることが不可欠だとして、(1)地域農協の自立と創意工夫で積極的に事業展開(2)経済事業を行う連合会・全農は、地域農協をサポート、株式会社への転換も可能(3)中央会は地域農協の自主性を尊重しつつ農協間の連絡・調整などの役割を明確にし、自律的な新制度へ移行―などの意見をまとめ、実施計画に盛り込ませた。

政府は今後5年間で、農協改革や農業委員会の見直し、農業生産法人の要件緩和による企業化を進めるとしたが、農村地域の多くが直面しているのは、高齢化と過疎化、地域コミュニティーの崩壊といった深刻な問題だ。農村の将来に希望が持てる、安心して農業に向かい合える環境づくりこそ喫緊の課題といえよう。

特に、就農環境の改善や「売れる」商品の開発、農村コミュニティーの充実には、女性の価値観が不可欠だ。ややもすれば、農協役員や農業委員は男性が多数を占めがちだが、女性や青年を積極的に登用して、農業と農村に新たな活力を吹き込んでもらいたい。

「猫の目農政」と批判されるような政策の変更は、もはや許されない。魅力ある農業の構築へ、行政も農業者とともに汗を流す時だろう。

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