主張ロボット産業の発展 人口減社会への貢献大きい

公明新聞:2014年6月18日(水)付

日本の技術力 実用につなげよ

人口減少、高齢化社会が直面する課題の解決に役立ち、経済成長を促すロボット産業の発展を、積極的に後押ししていきたい。

政府の産業競争力会議は16日、新成長戦略の素案を示し、ロボット技術の開発を「新たな産業革命」と位置付け普及に取り組む方針を示した。

ロボットの活用が期待される分野は多岐にわたる。地球規模での競争にさらされる製造業では、既に多くのロボットを導入。自動車工場では、溶接や塗装、部品取り付けなどの工程で正確で迅速な動作を行うロボットが活用されている。

また、介護分野では、ただでさえ担い手不足が指摘される上、要介護者をベッドから車イスに移すなどの重労働を1人の介護士が何十回と繰り返すことから、介護士の8割は腰痛持ちだといわれている。介護ロボットが、重労働の緩和に貢献できれば、その利点は極めて大きい。公明党が5月に行った成長戦略に関する提言で介護ロボットの推進を訴えたのもこのためだ。

政府は、2012年には、国内で6600億円程度だったとされる製造分野のロボット市場の規模を20年には2倍に、医療や介護などサービス分野では600億円程度だった市場を20倍にまで拡大する目標を立てている。

近年、各国の経済を支えたパソコンや携帯電話の普及、小型・高機能化といった技術革新は、次にロボットや人工知能(AI)の分野で起こるとみられている。日本は、その技術力から、現段階では世界有数のロボット大国であるが、開発に相応の資金と時間がかかる、こうした分野を支援するベンチャー投資家らが少なく、実用に結び付ける環境がないと指摘されている。官民の効果的な連携により、必要なサポートを惜しむことなく世界をリードする技術革新に挑んでもらいたい。

ただし、ロボット技術は大きな潜在力を持つ半面、マイナスの側面が懸念されていることも忘れてはならない。

軍事面での活用について、現段階では、人間の操作を必要としない自律型ロボットの利用は伝えられていないが、こうした懸念は、既に国連で議題となるほどだ。

製造業やサービス業でロボットが人に替われば、雇用面でも問題が生じ得る。人工知能の開発が進めばロボットがミスした場合の責任の所在が問われる可能性もあろう。

科学技術は使い方次第で変わる。大きな可能性を秘めているからこそ、必要なルールの整備は怠らず、健全な発展を促していきたい。

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