軽減税率与党が論点整理 食料品対象に8案発表

公明新聞:2014年6月8日(日)付

減収額示し国民の意見聞く
納税事務で経理手法4案も

公明党が強く求めている消費税の軽減税率導入が実現へ一歩前進した。

自民、公明の与党税制協議会は5日、軽減税率導入に向けた論点整理を発表。対象品目で8パターン、経理手法で4パターンの具体案を示した。

消費税は消費者の所得に関係なく、商品やサービス価格に一定割合が課税されるため、低所得者ほど負担感が重い。このため、公明党は、消費税増税の低所得者対策として、生活必需品の税率を低く抑える軽減税率の導入を主張。昨年末に与党が決めた税制改正大綱では、軽減税率を「(消費)税率10%時に導入する」と明記した。

今後、与党は「予め案を絞り込むのではなく、広く国民の意見を聞きながら、検討していく」として、事業者団体などから意見を聞いた上で、年末までに制度の詳細を決定する方針だ。

対象品目では、生活必需品の税負担を軽くし、痛税感を和らげる観点から、まずは飲食料品を想定し、対象の線引きと税収への影響をまとめた。公明党が提案してきた「酒、外食を除く飲食料品」を対象にした場合の減収額(消費税率1%あたり)は4900億円。全ての飲食料品を対象にした場合の減収額は6600億円まで増えるが、コメ、みそ、しょうゆの3品目や、精米に限定した場合は、200億円になると試算した【グラフ参照】。

公明党は、新聞・出版物に関しても、社会政策的な観点から軽減税率の対象に加えるよう求めていく。

軽減税率の対象品目(飲食料品)の8案一方、軽減税率導入では、事業者の納税事務が増えることや不正を防ぐ対策も欠かせない。消費税率が一律である今は、請求書に取引の合計額が記されていれば、それに税率を掛けて税額を把握できるが、税率が複数になると不可能だ。その結果、偽った税率を申告するなどの不正が広がりかねない。

与党が示した四つの経理手法の中には、現行の請求書に税率ごとの合計額を記載する公明案のほか、品目ごとの適用税率と税額を細かく記すインボイス(送り状)方式を盛り込んだ。公明案の特徴はインボイス方式に比べ事務負担が軽いこと。インボイス方式は不正を防ぐ効果は高いが、事業者の事務負担は重い。

公明党は、対象品目や経理手法の独自案を「取り下げたわけではない」(公明党の斉藤鉄夫税制調査会長)。制度をより良くするために、複数のパターンの長所や短所について意見を聞く考えだ。

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