汚染水対策(福島第1)に万全期す

公明新聞:2014年5月21日(水)付

凍土遮水壁の実証試験現場を調査する赤羽副大臣=20日 東京電力福島第1原発凍土遮水壁の実証試験現場を調査する赤羽副大臣(中央)=20日 東京電力福島第1原発

凍土壁の実証試験効果などを確認
赤羽副大臣

きょうから地下水バイパス運用

地下水バイパス赤羽一嘉経済産業副大臣(公明党)は20日、東京電力福島第1原発(福島県大熊、双葉両町)を訪れ、地下水が原子炉建屋に流れ込んで汚染水になるのを防ぐ「地下水バイパス」【図参照】と、「凍土遮水壁」【図参照】の実証試験現場を調査した。

地下水バイパスは、第1原発の敷地内に12カ所設置した井戸から地下水をくみ上げ、放射性物質濃度が基準値を下回った場合のみ海へと放出するもの。本格稼働すれば1日当たり最大100トンの地下水流入を抑えられる。

一方、凍土遮水壁は、第1原発1~4号機の外周約1.5キロの地盤を深さ約30メートルまで凍らせて氷の壁を造る計画。着工には原子力規制委員会の許可が必要なため、建屋付近に10メートル四方の小さな凍土壁を造って遮水効果があるのか実証試験を進めてきた。

凍土遮水壁赤羽副大臣は、地下水バイパスの井戸や海への放水路、くみ上げた水を一時保管するタンクを視察。東電担当者から、「これまでの調査では基準値を超える放射性物質濃度が計測されていない」と説明を受けた。

凍土壁の実証試験に関しては、自らスコップを使って氷の壁の強度を確認。近くに掘られた穴からは地下水が出ているにもかかわらず、凍土壁には水が流入していないことを目視し、「まだ油断はできないが、効果が確認できたことは良かった」と述べた。



東電福島第1原発の「地下水バイパス計画」について、福島県と原発周辺市町村などで構成する協議会は20日、福島市内で会合を開き、同計画の実施を事実上、了承した。

東電は21日に放射性物質濃度が基準値(セシウム134は1リットル当たり1ベクレル以下など)以下だった地下水約560トンを海に放出する方針。

これに関して赤羽副大臣は「汚染水の増加を防ぐ大きな一歩。万が一にも風評被害が起きないように、丁寧に運用していく必要がある」と強調した。

公明新聞のお申し込み

公明新聞は、激しく移り変わる社会・政治の動きを的確にとらえ、読者の目線でわかりやすく伝えてまいります。

新聞の定期購読