建設業の人手不足が深刻

公明新聞:2014年5月6日(火)付

太田国交相に提言を申し入れる遠山座長ら=3月26日 国交省太田国交相(右から4人目)に提言を申し入れる遠山座長(右隣)ら=3月26日 国交省

公明の提言具体化へ 外国人、離職者活用促す
求人倍率7倍超の職人も
相次ぐ工事の遅れ、入札不調

景気が回復軌道への歩みを続ける日本経済に“新たな壁”が立ちはだかっている。建設業をはじめ、飲食や小売り、製造業など幅広い業種で人手不足が深刻化。企業の業績や経済成長の足かせになるとの懸念が高まってきた。

建設業の就業者数と建設投資中でも、建設業を取り巻く環境は厳しい。ただでさえ、建設業はきつい仕事などが敬遠され、若者の職人が集まりにくい。加えて、公共投資の削減などで建設業就業者数は、1999年の685万人をピークに減少を続け、2013年には499万人にまで落ち込んだ【グラフ参照】。

その結果、景気回復や東日本大震災からの復興、20年の東京五輪・パラリンピックの開催決定で建設需要が急増しても、人手不足に陥っている建設会社は、十分な対応ができない。

公共工事を発注しても、人手が確保できず、入札に参加業者が集まらない「不調」に終わる事態が続出。高い賃金を提示しても職人が集まらないという。

共同通信の調査によれば、13年4~12月に都道府県が実施した公共投資の入札が不調などに終わった割合が例年に比べ2倍に上り、中でも宮城県などの被災地で割合が高い。入札不調の原因としては「建設業者の人手不足」(複数回答)が7割を超えた。

このほか、人手不足による工事の遅れが原因で、待機児童の解消に欠かせない保育所のオープン時期が4月以降にズレ込んでしまったケースも少なくない。

雇用に関する指標を見ても人手不足は顕著だ。厚生労働省が2日に発表した3月の有効求人倍率(季節調整値、ハローワークで職を探す1人に企業から何人の求人があるかを示す指標)が1.07倍と改善が続く中、建物の骨組みに相当する躯体工事を担う職人の倍率は7倍超と突出して高い。

そこで焦点となっているのが即戦力としての外国人の活用だ。

公明党の「日本経済の再生に資する技術者・技能者の確保・養成等のあり方を検討するプロジェクトチーム」(遠山清彦座長=衆院議員)は3月、太田昭宏国土交通相(公明党)に対し、緊急で時限的な措置として外国人人材の活用や日本人離職者の復帰を促す取り組みなどを提言。

これを踏まえ、政府は4月、15年度から20年度までの時限的な対策として、外国人技能実習制度(開発途上国の経済発展の担い手育成へ日本で技術や知識を習得する制度。滞在期間3年)の事実上の期間延長を認め、日本で最長6年働けるようにした。

一方、太田国交相は4月、女性の技能労働者数を5年以内に18万人にまで倍増させる目標を発表。女性の採用拡大や技能向上に向けた戦略などを検討し、行動計画を今夏までに策定することを建設業5団体と申し合わせた。

引き続き公明党は、震災復興の加速化や持続的な成長の実現に向け、建設業をはじめとする企業の人材確保を後押ししていく。

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