福島を再エネ先進地に

公明新聞:2014年5月1日(木)付

小水力発電施設の建設予定地を視察する浜田副大臣ら=30日 福島市小水力発電施設の建設予定地を視察する浜田副大臣(左から2人目)ら=30日 福島市

土湯温泉が念願の第一歩
浜田氏ら出席 小水力発電の起工式

浜田昌良復興副大臣(公明党)は30日、根本匠復興相と共に福島市の土湯温泉を訪れ、東鴉川の砂防堰堤を活用した小水力発電施設の起工式に出席した。公明党から竹谷とし子参院議員、甚野源次郎県議が同席した。

式に先立ち浜田副大臣は、温泉熱を活用して西アフリカ原産の「ミラクルフルーツ」を栽培するビニールハウスを視察。水力発電と併せて土湯温泉に造られる「バイナリー発電」施設の建設予定地にも足を運んだ。

起工式では、温泉の協同組合と地元NPO法人が共同出資して設立し、両発電事業を進めている株式会社「元気アップつちゆ」の加藤勝一社長があいさつ。

加藤氏は「土湯温泉の観光資源として大きく育てたい」と述べたほか、県が示している「2040年までに県内エネルギー需要を全て再エネでまかなう」とした目標を達成する第一歩になるとの認識を示した。

その後、浜田副大臣は小水力発電施設の建設予定地を視察し、「福島復興に向けた再エネのモデル事業となる第1号が動き出した。これを福島全体に広げていきたい」と語った。

土湯温泉では、東日本大震災前に16軒あった温泉旅館のうち、5軒が地震による建物損壊や東京電力福島第1原発の風評被害で廃業、1軒が長期休業となった。加藤氏によると、年間の観光客数は震災前で約25万人だったが、震災後の最悪期には約6万人にまで減少したという。

こうした事態を受けて加藤氏らは、温泉観光地の将来を占うモデル地域をつくるため、11年10月に「土湯温泉町復興再生協議会」を立ち上げ、再エネ事業の取り組みを開始。約2年半を経て、今回の起工式にこぎ着けた。

公明党は、山口那津男代表らが現地視察をするなど、土湯温泉の取り組みを推進。再エネの推進に関しては、今年4月に設置された「再生可能エネルギー等関係閣僚会議」の創設に尽力するなどしてきた。土湯温泉の再エネにの取り組み

土湯温泉の水力発電は、来年3月から稼働する予定。今年8月末に着工し、来年7月稼働を予定するバイナリー発電と合わせて年間340万キロワット時(約600世帯分)の発電を見込んでいる。

バイナリー発電とは、水よりも沸点が低い「ペンタン」などの液体を、温泉の源泉熱で加熱して作った高圧蒸気によってタービンを回し発電するもの。温泉の供給や成分には影響が出ない上、発電過程で140度近い源泉の熱を適温まで下げられることなどから採用した【イラスト参照】。

さらに、発電によって生じる温水を活用した地域活性化策も行う。ペンタンを冷却し液体に戻すために使う川の水が温まることを利用して、スッポンなどの養殖計画を策定している。

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