主張文化外交 好感と理解が存在感高める

公明新聞:2014年3月15日(土)付

日本の潜在力 国際社会に発信を

軍事力などの「強制力」ではなく、国の「魅力」で国際社会に貢献するソフトパワー外交が注目されて久しいが、改めて、高い潜在力を持つと評価される日本の文化外交を強化していくべきだと主張したい。

日本の文化や商品の輸出分野で、官民ファンドである「クールジャパン機構」(海外需要開拓支援機構)と日本貿易振興機構(ジェトロ)は13日、業務提携することを発表した。これにより、同機構は投資案件や進出先に関する調査について、ジェトロの海外拠点や情報網を活用していく。ジェトロは企業への資金供給などで同機構を利用する。国際社会への日本文化の普及を促す機構の取り組みを積極的に応援していきたい。

国境を越えて人々が交流し、映像や音楽を共有できる今、海外から見た日本のイメージは、少しずつ変わりつつある。

かつて、東南アジアなどの街角で目にする日本製品は、自動車や精密機器、家電メーカー関連が大半を占めていた。しかし近年は、アニメのキャラクター、すしやラーメンなどの食文化、有名アパレルや雑貨店の商品・店舗などが急増している。

タイでは、日本発のスマートフォン(高機能携帯電話)向けアプリ(応用ソフト)の利用者が約3000万人にも上るという。

ここ数年、現役世代や若者が減り続ける日本市場の先行きに悲観的な見方が広がり、中小企業などを含む多くの日本企業が海外進出の動きを強めている。それらの企業とともに海を渡った食文化やファッション、映像や音楽などのコンテンツ(内容物)は、現地で少しずつ受け入れられつつある。

外務省は、国の存在感を示す一つの考え方として、好感度と理解度の大きさを重要な指標として挙げている。諸外国の日常生活にまで浸透する動きを見せるサービスや製品は、日本の存在感や好印象を高めているといえよう。

文化外交は、明確な利益が予測できるわけではなく、その評価が難しい上に、目の前の紛争解決には無力であるとも指摘される。ただ、他国との関係を良好に保つための予防的な役割を果たしていることは間違いない。

国と国との相互理解を深めるためには文化の力は欠かせない。一方で、文化には国際社会で摩擦や問題が発生した場合にその影響を抑える効果も期待できる。政府と民間の両分野で可能な限り文化外交や交流を進めていくべきだ。

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