「人間の復興」必ずや

公明新聞:2014年3月11日(火)付

「3月11日」の朝に
公明党代表 山口 那津男

3月11日の朝を迎えた。

静かに厳かに鎮魂と追悼の祈りを捧げることから、きょう一日をスタートさせよう。そして、ご遺族の方々、被災された全ての皆さまの、あの日からきょうまでの苦難の歩みに思いを馳せ、公明党の全議員・全党員とともに「再生」への誓いを新たにしたい。断じて「人間の復興」を成し遂げると―。

忘れ得ぬ光景

瞼まぶたに焼き付いた光景がある。震災発生から間もない2011年3月半ば、仙台市内の避難所で出会った一人のお年寄り。凍える身を毛布に包んで「生き残ったのが辛い」と涙ぐむ姿が痛々しかった。

4月、福島県の相馬漁港で言葉を交わした青年漁師。「この先、何の当てもない。政治家なんて言葉だけじゃないか」。あらゆる面で後手続きだった当時の政権への批判だったとはいえ、その真摯な叫びは私の肺腑を抉らずにはおかなかった。「待っていてほしい。公明党がやる!」。心中深く、そう決意したことが思い出される。

遠く三陸の海を睨みながら涙を流していた女性の姿、遊び場を失った子どもたちの悲しげな瞳も脳裡から離れない。行く先々で見た廃虚さながらの光景も……。

震災3年の節目を刻んだ今、私はこの<忘れられない><忘れない>ということの大切さに思いを至している。あのお年寄り、あの青年、あの子どもたちの痛みをわが痛みとし、層倍の復興加速に死力を尽くす決意である。

不条理を超えて

復興への制度・体制は整った、インフラ整備も軌道に乗った、あとは各地域と個人の問題―。そう嘯く政治家がいるやに聞く。何と貧弱な政治観か。公明党は断じてそう考えない。

そこに助けを求める人がいる。その一人のために現場を走る、知恵を絞る、命を削る。政治家はそうあらねばならないはずだ。「政治は最高の道徳」(アリストテレス)であるべきであり、「愛なり慈悲の少ない政治は許されるはずがない」(松下幸之助)のである。

きのうまでの当たり前の生活を突然奪い、多くの人々を深い喪失感に追いやった3.11。この不条理な仕打ちを超えゆく、愛と慈悲と最高善に満ちた政治が求められている。その先頭に公明党が立つ。約束したい。

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