全国政策局長会の活動報告から

公明新聞:2014年2月24日(月)付

22日に党本部で行われた、全国政策局長会での活動報告の要旨を紹介する。

ネットワークの力 離島高校生の修学支援制度を創設

坂倉広子 三重・鳥羽市議

坂倉広子 三重・鳥羽市議市議2期目の私は、鳥羽市唯一の公明党議員です。鳥羽・志摩地域は、海女さんが全国最多の1000人を超えることで有名なほど漁業も盛んで、市内に4つある有人離島には3800人が暮らしております。

2年前の離島振興法改正に伴い、公明党対策本部の衆院議員が離島の現状を知るためにこの4島を訪問。住民との懇談会を開き、意見を聞く機会を持ちました。

この中で、ある住民から「島には小・中学校はあるものの高校がないため、進学するには親元を離れて下宿するか、定期船での通学を選択するしかない。下宿には費用がかかり、定期船での通学も鉄道に比べて高額なため、保護者の経済負担は大変だ」との訴えがありました。

これに対し公明党側は、離島から通う高校生に通学費などを助成する国の「離島高校生修学支援事業」の活用が提案され、本市での実現に全力で取り組むと約束。その翌月、鳥羽の現状をもとに離島で暮らす人々への支援充実を国会で訴える、その公明党議員の姿がテレビ中継されました。それを見た多くの島民から、「私たちの声が本当に政治に届いた。公明党の取り組みは本物だ」との声が寄せられました。

「制度を実現するのは今だ」と、私も行動を開始。党県代表の中川康洋県議と連携を取りながら、他会派の議員にも呼び掛け、市長に国の事業を活用した支援制度の創設を要望しました。

これをきっかけに市は昨年1月、市内に住む全ての高校生を対象に、月額1万2500円を上限に通学費を補助する支援制度を創設。併せて下宿生への支援も開始され、長年の島民の願いをかなえることができました。

また、公明党の推進により成立した「改正離島振興法」では、修学支援のほかに、医療や介護の充実をはじめ、妊婦の通院・出産支援なども対象に加わりました。

今回の取り組みを通し、市にたった一人の公明党議員でも、ネットワークを活用すれば離島の住民の声を、法律にまで生かすことができることを実感しました。

現場の声を丁寧に聞くことが、私たち公明党議員の役割であると自覚し、地域のため、住民のため今後もがんばってまいります。

地域の課題に挑戦 議会挙げデマンドタクシー実現

藤井修 千葉・君津市議

藤井修 千葉・君津市議5町村の合併で誕生した君津市には、市街地と内陸部を直接結ぶ公共交通機関、生活バス路線の未整備地域があり、この地域では高齢化とともに移動困難な市民が増えています。

生活バス路線は、利用者の減少に伴い不採算路線からの撤退と減便が相次ぎ、それがまた利用者の減少につながるという悪循環に陥っていたため、内陸部地域では9年ほど前からコミュニティバスが運行を開始。しかし、4路線中3路線は乗車率が低く、運行維持のための市の助成金は8500万円に上っていました。

3人の公明党議員は、住民から交通網充実の強い要望を受け、要望書の提出や議会での質問などを通じて、利便性改善と交通網の再構築を申し入れましたが、なかなか進みません。そこで、全会派を巻き込んで取り組もうと発想を転換。議会に「交通体系等調査特別委員会」の設置を提案したところ、全議員の賛同を得ることができました。

最重要課題のコミュニティバスの運行改善については、先進的に取り組む他自治体への視察や勉強会を精力的に実施。しかし、一般的にコミュニティバス路線の乗車率は低く、改善に向けた有効な手だては、なかなか見つかりません。

同委員会として、内陸部地域へのコミュニティバス路線網整備は不向きと判断したことから、事前登録制の予約乗合交通であるデマンド交通システムに着目。改めて専門家から話を聞くとともに、実際に運行している先進市を視察し、実現に向けた取り組みを開始しました。委員会設置から4年を経た2011年秋に、小型バスではなく、ワゴン車を活用するデマンドタクシーの実証実験にこぎ着けることができました。実験では1日平均57人の利用者があり、事業費支出も大幅削減できる見込みとなり、昨年10月から本格運用されています。

主要な行政課題において最適な政策を選択し実現するには、議員・議会が主導的に推進できる特別委員会の設置が極めて有効な手段であり、住民の要望に応えるには、企画・対策の立案能力とともに、議会の中で政策論議をリードする議員力が重要だと思います。

それには公明党のネットワークを活用し、情報収集に努めることが不可欠だと実感しています。

議員提案で条例制定 市民の命守る自殺対策進める

藤本公子 愛媛・松山市議

藤本公子 愛媛・松山市議2006年のこと、全国の自殺者が8年連続で3万人を超えたというニュースに接し、人ごととは思えず「何とか市民の命を守れないか」と、勉強を始めました。

自殺者の6~7割がうつ状態であったこと、公明党の推進でうつ病対策として有用な認知行動療法が保険適用されたことを公明新聞などで知り、先進的に取り組む沖縄県や鹿児島県を視察。また、現状と対策を市に訴えるとともに、県議会でも公明党議員に質問で取り上げてもらった結果、県が主体となり、保健師や教職員などが認知行動療法を習得できる研修と、デイサービスが始まりました。

しかし、市の担当者と何度も打ち合わせしましたが、市独自の事業予算は無い、自殺は個人の問題で行政が関わることは難しい、と後ろ向きでした。

対策を前進させるには、議員提案で自殺対策条例を制定して市に取り組みの義務を課し、予算も確保するしかないと決意。11年5月、松山市議会初の議員提案による条例制定をめざし、多くの賛同を得ようと他会派への折衝を開始しました。一人一人丁寧に話をし、会派を超えた9人で取り組むことになりました。

最も重要な文案作りでは、他市の条例も参考にしつつ、「何より松山らしいものを」と何度も勉強会を重ねて議論し、翌12年9月議会に上程するスケジュールまでこぎ着けました。

ところが、市民の意見を聞くパブリックコメント募集は、反対会派の抵抗に遭い議会のホームページは使えません。それなら直接、住民に訴えようと、説明会を企画。街頭に出て、チラシを配布しながら開催を告知しました。

この問題に取り組んできたNPO法人の全面協力もあり、10カ所で開催した説明会で、市民に問題の深刻さが次第に伝わり、条例の成立を望む声が高まりました。

いよいよ9月議会。他議員からの質問に答える立場でしたので、反対する会派からの質問も乗り越え、自殺対策の議員提案条例としては全国4番目、人口50万人以上の市で初めてとなる条例を、賛成多数で成立させることができました。現在、来年4月の基本計画策定に向けた作業が進行中で、来年度予算には事業費も計上、今後さまざまに展開される予定です。

自殺対策は住民一人一人が、担い手として支え合うことが大切です。私も一人でも多くの命を守れるよう、また暮らしやすい松山市となるよう応援していく決意です。

公明新聞のお申し込み

公明新聞は、激しく移り変わる社会・政治の動きを的確にとらえ、読者の目線でわかりやすく伝えてまいります。

新聞の定期購読