主張大切な地域防災の中核 消防団の強化  

公明新聞:2014年2月24日(月)付

処遇改善や訓練支援を積極的に

まもなく3年を迎える東日本大震災では、多くの消防団員が自らも被災しながら水門の閉鎖や避難者の誘導に当たり住民の命を守った。その一方で、254人の消防団員が犠牲になっている。

地域の実情を熟知している消防団は、災害列島・日本の防災を担う重要な組織である。総務省消防庁は今月、昨年12月の消防団支援法施行を受け、消防団を中核とした地域防災力の強化について消防審議会に諮問した。

消防団員は非常勤特別職の地方公務員であると同時に、本業の傍ら自発的に参加するボランティアの性格も併せ持っている。郷土愛と使命感にあふれる地域防災のリーダーとして消防団員が存分に活躍でき、どのような事態に遭遇しても犠牲者を出さない体制の構築を期待したい。

消防審議会では、消防団員の確保が重要テーマになる。

消防庁は2007年に「消防団員 めざせ100万人」を掲げて入団促進キャンペーンを始めるなど、さまざま取り組みをしてきた。ところが、人口の高齢化や減少、サラリーマンの増加といった就業構造の変化によって団員数の減少に歯止めがかからない。

消防団の設置が市町村に義務づけられた1951年の翌52年には約200万人だった消防団員数は、その後一貫して減少。90年に100万人を割り込み、昨年4月には約87万人になった。

消防団には、農業や自営業など地元で働く青年が仕事場から消防団詰所や火災現場に駆けつけるというイメージがある。しかし、消防団員に占めるサラリーマンの構成は65年の約27%から昨年は約72%に増えた。サラリーマンは出動で即座に職場を離れることも難しい。内閣府の世論調査(2012年8月)によると、消防団に入団しない理由として「体力に自信がない」(約47%)、「高齢である」(約39%)に続き「職業と両立しそうにないと思う」が約30%に上った。

こうした変化に応じ、全ての消防団活動に参加できなくても、広報や高齢者訪問など限定的な活動をする「機能別消防団員」や、大規模災害のときだけ活動する「機能別消防分団」の制度を消防庁は05年から導入している。

消防団支援法は消防団を「将来にわたり地域防災力の中核として欠くことのできない代替性のない存在」として国と地方自治体に対し、報酬などの処遇改善や訓練支援などの責務を課した。大災害を見据えた消防団の強化は待ったなしの課題である。

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