主張混乱続く大雪被害 「想定外」に備えた対策を

公明新聞:2014年2月19日(水)付

情報発信の強化など見直し必要

関東甲信や東北地方を襲った記録的な大雪の混乱が続いている。

山梨県などでは交通網が寸断され、集落が孤立する状態が相次ぎ、いまだに解消の見通しが立たない地域もある。落雪などによる死傷者は多数に上る。農業や物流など経済活動にもダメージは大きい。

除雪作業が進んでいるとはいえ、日常生活が戻るまでには、まだまだ時間がかかる。政府や自治体は支援に全力を挙げるべきだ。

被害が拡大した原因は、普段あまり雪が降らない地域に一度に大量の雪が降ったことにある。こうした地域では、豪雪地帯と違って大雪の発生は不定期であり、対応に慣れていない。消雪パイプを備えた道路などのインフラ整備も、費用対効果を考えれば容易ではない。

ただし、地球温暖化の影響などで、集中豪雨や猛暑といった“極端な気象”は増加する傾向にある。今回の教訓を踏まえ、大雪への「想定外」に備えた取り組みが欠かせない。

まず、「公助」を担う行政は、情報発信を強化していく必要がある。

今回の大雪について気象庁は特別警報を発表しなかった。「降雪が丸1日以上続くと予想される」との基準を満たさなかったためだ。気象予測の難しさはあるのだろうが、改善はできないのか。運用の見直しを検討してほしい。

自治体が除雪作業を委託する建設業者の減少も痛手だった。近年の不況や公共事業の削減で、維持費のかさむ除雪用車両を手放した業者も少なくない。中長期的に建設業界を支援していくことが不可欠になる。

雪の重みで公共施設や駅の屋根などが崩落するケースも目立った。多くの人が集まっていれば大惨事になりかねない。原因の究明を徹底して進めると同時に、早めの除雪など、再発防止策を検討するべきだ。

一方、孤立しやすい中山間地の集落では、自力で雪かきができない高齢者が多い。除雪作業中の転落事故なども起きている。豪雪地帯では除雪ボランティアの受け入れや、安全に配慮した地域一斉の雪下ろしなどの取り組み事例がある。人々が助け合う「共助」の仕組み作りの参考としたい。

今回の大雪では、立ち往生した車が大渋滞を引き起こし、除雪車が入れない道路もあった。荒天時の不要不急の外出を控えたり、孤立した場合を想定して自宅に食料を備蓄するなど、「自助」の重要性も自覚したい。

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