主張行政評価・監視 透明性や経費削減が前進

公明新聞:2014年2月5日(水)付

国自ら襟正し信頼得る努力を

総務省は、国が民間業者に発注する契約で、競争性が確保されているかを調査した報告書をまとめ、先週発表した。全18府省251会計機関の2011年度と12年度上半期の契約の中から、約7000件を抽出調査した。

公共調達はかつて、天下り企業への厚遇が指摘されたことから、「天下りの温床」「官民癒着の象徴」などと批判された。このため国は07年、全ての契約について透明性、競争性を確保する方針を定め、外部有識者からなる第三者機関の設置で、監視体制を強化するなどの対策を進めてきた。今回の報告書は、それを検証したものだ。

公明党は、徹底した行政改革・監視で国民の信頼回復を図れと重ねて訴えてきたが、国自ら襟を正す行政評価・監視の取り組みは重要だ。

報告書からは、組織の縦割りの壁を超え、経費削減に向けた努力の広がりがうかがえる。宇都宮にある、地方検察庁と地方法務局、保護観察所が入居する地方法務合同庁舎で、コピー機のトナーカートリッジを安価に調達できるメーカーがあることに着目。12年度からメーカーごとに庁舎全体で共同調達することで、前年度比で単価あたり最大1万1350円節約したという。さらに、その輸送費も削減する意欲を見せている。

高松国税局では、管内の各税務署が個別に行っていた会計事務を集約化。さらに合同入居している坂出市役所などと共同で、清掃業務を契約している。創意工夫の広がりを評価したい。

ただし、報告書の大半は、改善が不十分なため勧告を行った300件余りに記述を割き、改善を求めている。

比較的新設の消費者庁や復興庁には、第三者機関による審議の仕組みが整備されておらず、「契約の監視が実施されていない」と指摘。形式上は一般競争入札だが、不必要な官公庁での業務実績の有無を応札条件にして実質的に業者を制限している57例や、複数の事業者から見積書を取れるにもかかわらず、1社からしか得ていない44例など、不適切な事例を列挙した。

今回の調査で総務省は、半年後に改善状況をまとめるとしている。政府の行革推進本部は昨年4月、こうした契約について分析や検証・評価を行い、不断の見直しを行うと決定しており、各府省は早急に対応してもらいたい。

税の使途は国民に明確にしなければならない。実態を公表し改善を図るこの取り組みは、透明性向上への大きな力になると期待したい。

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