主張日本と韓国 今年こそ首脳会談実現を
公明新聞:2014年1月14日(火)付
関係改善求める世論を受け止めよ
韓国国民の間で、日本との関係改善を望む声が高まっている。
韓国のシンクタンクが先月29~31日に実施した世論調査によると、「日韓関係の改善に朴槿恵大統領が積極的に取り組むべきだ」と考える国民が約6割に上った。日韓首脳会談の開催についても、約半数が「賛成」と答えた。
調査が安倍首相の靖国神社参拝直後に実施されたタイミングを考慮すると、この数字は目を引く。韓国国民の多くは、歴史認識の問題とは切り離して関係修復を求めていると受け止めたい。
わが国の言論NPOが昨年5月にまとめた韓国との共同世論調査では、相手国にマイナスの印象を持つ人の割合は日本人が37.3%だったが、韓国人は2倍以上の76.6%にも上った。韓国メディアも厳しい対日批判を繰り返していたが、昨秋ごろから柔軟な論調が散見されるようになってきた。韓国の世論の変化を大切にしたい。
日韓両国で現政権が発足して約1年。いまだに首脳会談は開かれていない。1965年の国交正常化以来、最悪といわれる状況に今年こそ終止符を打つべきだ。
先に示した日韓共同世論調査によると、両国の関係を重要だと考えている国民は、双方とも7割を超す。こうした民意を尊重して、両国が歩み寄るべきである。できるだけ早い時期の首脳会談の開催を期待したい。
政府レベルでは冷え込んでいるものの、経済や文化の交流は停滞していない。韓国にとって日本は第2位の貿易相手国であり、日本にとって韓国は3番目に交易量が多い国である。両国間の人的交流は、2012年に過去最多の約556万人に達した。日本では韓流ブームが定着、韓国でも日本のアニメや美術の人気は高い。
強い結び付きを考えると、現在の状況は両国にとってマイナスが多い。本来ならば他分野の交流を後押しする政治が、逆に足を引っ張っている事態は打開すべきである。
日韓には、北朝鮮の核の脅威、中国の防空識別圏など、首脳同士で取り組む課題が山積している。東アジアの安定や発展という大局観に立って、未来志向の関係を再構築していきたい。
安倍首相は「地球儀を俯瞰する外交」を強調している。精力的な首脳外交は評価するが、近隣諸国とも冷静に向き合ってもらいたい。
両国政府は、あらゆるパイプや手段を駆使して、修復への道を探るべきである。
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