主張福島原発汚染水 国の役割もっと明確に

公明新聞:2013年10月31日(木)付

担当組織を再編し機能強化せよ

「極めて憂慮すべき事態だ」。東京電力福島第1原発で相次ぐ汚染水漏れについて、原子力規制委員会の田中委員長は28日、危機感を募らせた。指摘を受けた東電の広瀬社長は、当事者意識を強め、問題解決に当たってもらいたい。

この1カ月だけでも、(1)傾斜地に設置されていたタンクから高濃度の汚染水が漏出(2)間違って別の配管を外したため水漏れが発生(3)降雨の影響で11カ所のせきで水があふれる―など、毎週のようにトラブルが続いた。

危機的状況が収束するめどは全く立っていない。被害は収拾どころか、むしろ増幅しているのではないだろうか。広瀬社長は、作業員の確保が難しく、慣れない仕事の増加がミスの原因と釈明したが、経営陣の判断の甘さを認めたことにほかならない。

東日本大震災後、東電の社員は減り続けている。下請け作業員も長引く労務で、被ばく線量が限度に近づきつつあり、作業現場を離れる人が増えている。ベテランが離脱して経験の浅いメンバーが増加すれば、仕事の効率は低下せざるを得ない。今日の状況は、容易に予測できたはずだ。

ようやく、東電全体で福島第1原発の要員を確保する考えを明らかにした、という。長期的な人材の確保・配置や作業環境の改善をテコにしてミスの再発を防いでほしい。

汚染水対策は、技術面だけでなく監視の強化や万が一、漏れが発生した場合に影響を最小限に抑える取り組み、そして的確で迅速な情報の発信が求められる。特に、地元関係者への説明を怠らないでもらいたい。

ただ、廃炉も含めた汚染水対策は東電の能力の限界を超えている。安倍首相は、「国が全面に立って責任を果たす」と国会で繰り返し答弁している。国と東電が、どのように役割を分担して、解決に当たるのか。もっと明確にすべきである。

そのためには、政府が立ち上げている対策組織を再編し、機能を強化してもらいたい。現在は、首相官邸、経済産業省、原子力規制委員会などで専門機関が対応に当たっているが、担当分野や責任の所在が今一つ曖昧だと指摘されている。司令塔役を担う部門をはっきりする必要がある。場合によっては、財政支援も避けられないかもしれない。

首相は、「全体として状況はコントロールされている」と説明するが、「信頼できない」は8割を超す(共同通信社調査)。汚染水問題に対する国際社会の目も厳しい。政府は積極的に関与すべきだ。

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