主張特定秘密保護法案 「知る権利」を条文で担保

公明新聞:2013年10月28日(月)付

政府は国会答弁で説明を尽くせ

特定秘密保護法案が25日に閣議決定、国会提出された。外交、安全保障などに関わる情報管理を徹底し、秘匿の必要性が高い情報を特定秘密として漏えいに重い罰則を規定している。

国の安全や国民の生命、財産を守る情報を保護するために不可欠な法律だ。

衆院国家安全保障に関する特別委員会で審議入りした国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案と関連した法案で、日本版NSCに特定秘密情報を提供する省庁の情報管理体制も整う。公明党は両法案の今国会での成立をめざしていく。

特定秘密保護法案をめぐっては、立案段階から取材行為の処罰対象が不明確で、取材活動の萎縮を招くと懸念されてきた。

日本新聞協会や日本民間放送連盟、日本雑誌協会など、各種マスコミ団体が反対声明や意見書を出している。

特に、罰則を恐れる公務員が取材を受けなくなったり、同法を理由にして取材を控えたりすれば、報道活動に影響が出てくるかもしれないとして、国民の「知る権利」が侵されないか、マスコミは危惧している。

公明党はこれらの声を受け、国民の「知る権利」「報道の自由」「取材の自由」を法案に明記するよう求めてきた。再三にわたり政府と交渉を重ね、閣議決定された法案は、第21条にこれらの権利の保障を明記。それを担保するために、取材行為を正当業務として処罰対象から外した。

これによって法令に違反せず、著しく不当な方法によるものと認められない限り、自由な取材活動は保障される。

「著しく不当な方法」とは、1971年の沖縄返還協定に関する機密文書を、新聞記者が公務員との異性関係を通じて入手、漏えいした事件を基準としている。最高裁判所は、この時の取材方法を「社会観念上是認することができない」として記者に有罪判決を下した。この最高裁決定を法案条文に盛り込んだ。こうした基準を越えない限り、報道・取材の自由は保障されていると言える。

どこまでが社会通念上是認されるか、明確な線引きまで示せなくても、他の具体的な事例の明示など、さらに踏み込んだ目安を明らかにすることはできるはずだ。政府は国会審議で、十分に説明責任を果たすべきである。

活発な審議を通じて、国民の「知る権利」の実現を担うマスコミの不安が払拭されることを期待したい。

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