主張ケネディ次期米大使 対日重視の人選を歓迎

公明新聞:2013年10月22日(火)付

新たな日米関係構築の架け橋に

米議会上院は、次期駐日米大使に故ジョン・F・ケネディ元大統領の長女キャロライン・ケネディ氏を起用する人事を承認した。

初の女性駐日米大使の誕生を歓迎したい。

ケネディ氏は、著名な政治家を数多く輩出したケネディ家の一員として米国内で常に注目を集めてきた。オバマ大統領の信任も厚く、対日重視の人選に他ならない。大統領との太いパイプを生かし、安全保障や経済などで日米関係強化の架け橋役を担う。日本への着任は11月中旬ごろの予定だ。

歴代の駐日米大使は副大統領や国務次官経験者など政界・外交官の重鎮が就任する場合が多い。政治や外交の現場経験がないケネディ氏に、次期大使という大役を果たせるのか疑問視する見方が米国の一部にあった。

しかし、指名承認をめぐる9月の議会上院外交委員会の公聴会で、不安は払拭された。ケネディ氏は「日本はかけがえのないパートナー」「日本ほど私が奉仕できる国はない」と述べ、安全保障や経済面での一層の日米関係強化に加え、人的交流の拡大などにも取り組む意欲を表明した。1時間半に及んだ公聴会で、ケネディ氏は終始、自信にあふれた主張や表情を見せていたそうだ。

日米両国は今、さまざまな課題に直面している。政治的な不安定が続く東アジアと、どう向き合うか。米軍普天間飛行場の移設問題や日米防衛協力を、どう進めるか。環太平洋連携協定(TPP)交渉などアジアの自由貿易も進展させなければならない。

次期大使は、米国の政権中枢と連携を取りながら、手腕を発揮してもらいたい。

日本政府は、成長戦略の柱の一つとして女性の活躍による経済成長をめざしている。そのポイントが、欧米と比べて極端に少ない女性管理職の登用だ。ケネディ氏は弁護士の資格を持ち、作家やNPOの活動などをしながら3人の子どもを育てた。詩にも造詣が深いとされ、まさに社会で活躍する女性のお手本のような存在だ。日本の将来のリーダーとなる女性たちとの対話や交流の機会が増えることに期待したい。

ケネディ氏は公聴会で、自らの教育分野の経験を生かし、日米の学者や学生、民間人同士の人材交流の拡大などに取り組み、両国の絆をさらに強めていくことにも意欲を示した。

注目度の高い次期大使が日米関係のみならず、さまざまな分野に新風を吹き込むことを期待したい。

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