設備投資、賃上げ促す

公明新聞:2013年10月3日(木)付

税制改正のポイント 斉藤税調会長、西田事務局長に聞く
中小企業向け税制が拡充
機械購入などの減税額増

自民、公明の与党両党は、投資減税などを柱とする税制改正大綱をまとめました。そのポイントについて、公明党の斉藤鉄夫税制調査会長、西田実仁同事務局長に聞きました。

復興法人税の1年前倒し廃止に条件
住宅ローン減税拡充など家計支援強化
消費税率10%での軽減税率導入に全力


例年、年末に行われる自民党との税制改正協議が秋に前倒しされた理由は。


斉藤税調会長 自公政権の経済政策の「3本目の矢」である成長戦略に盛り込まれた投資減税などの具体像を早く示したかったからです。そうなれば、今後の企業の経営計画などが立てやすくなります。協議が早い分、一部の施策が年度内に実施されるメリットもあります。

今回の税制改正のポイントは。


西田事務局長 当初、中小企業税制は協議の検討項目に入っていませんでしたが、最終的に公明党の訴えが実り、施策を大きく拡充することができました。

具体的にいえば、中小企業投資促進税制の拡充です。画期的なのは、資本金3000万円超から1億円以下の企業が特定の機械などを購入した際、法人税の税額控除や即時償却が認められたことです。

資本金3000万円以下の企業も即時償却ができるようになったほか、税額控除額が取得価格の7%から10%に拡充されました。法人税負担が減れば、それを基に算出する法人住民税額も減るという恩恵が受けられます。

そのほかは。


西田 先端設備など生産性の向上につながる設備投資を行う企業の法人税負担を減らす税制を創設しました。先端設備といっても、中小企業に限っては、一代前のモデルの機械や一定のソフトウエア(コンピューターのプログラムなど)の購入でも減税対象です。

一方、赤字の中小企業は法人税を支払っていないため、こうした減税の恩恵を受けることができません。これを踏まえ、公明党は補助金での対応に加え機械などの資産にかかる固定資産税の減免を求めています。

税制協議では復興特別法人税への対応も焦点でした。


斉藤 今回の税制改正協議の主要テーマは投資減税でしたが、終盤にきて、政府の意向により、復興特別法人税の1年前倒し廃止が議題になりました。

公明党は(1)法人税の議論をするのなら、実効税率引き下げを議論するのが筋(2)復興特別所得税、復興特別住民税をそのままにして、復興法人税だけを前倒し廃止するのは国民の理解を得られない(3)減税分が賃上げにつながる方策と見通しが見えない―と主張してきました。

どう決着しましたか。


斉藤 税制改正大綱では「足元の経済成長を賃金上昇につなげることを前提に、復興特別法人税の1年前倒しでの廃止について検討する」こととし、12月中に結論を得ます。

ただ、公明党の主張で(1)復興法人税に代わる復興財源の確保(2)国民、特に被災地の方々の理解を得ること(3)賃金上昇につながる方策と見通しを確認すること―を踏まえて検討することになりました。

税制で賃上げを促すことや家計支援も必要ですが。


斉藤 すでに賃上げを促す制度は創設されていますが、「利用のハードルが高い」などの指摘が相次いでいました。12年度比で企業の給与総額が5%以上増えなければ、減税を受けられませんが、今回、これを2~5%以上にし、使い勝手を良くしました。公明党が賃上げへの方策を強く求めてきた成果です。

さらに、14年4月の消費税率引き上げに伴う駆け込み需要や反動減を緩和するため、住宅ローン減税の拡充などを講じました。これに加え、自動車購入に対してもしっかりとした対策を講じていく決意です。

軽減税率の検討は進んでいますか。


斉藤 主な論点は、中小企業の事務負担軽減と軽減税率の対象品目などです。自民党とは消費税率10%段階の軽減税率導入をめざすことで合意し、与党内でも議論を進めています。何としても年末までに結論を得たい。

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