主張観光の不便さ取り除こう 多言語の標識設置や情報提供を

公明新聞:2013年9月21日(土)付

増加する訪日外国人客

8月の訪日外国人数が初めて90万人を超えた。今年1月からの累計数も680万人(推計値)で前年比2割増のペースだ。今年の目標としている1000万人達成も視野に入ってきた。

2020年の東京オリンピックの開催が決まり、今後さらに日本の注目度は高まる。多くの国や地域から訪れる観光客に気の利いた“おもてなし”をして、好印象を抱いてもらう対策が必要だろう。

道路や施設などで標識の表記が改善されることとなった。例えば、「公園」は「Koen」などと日本語の読み方をそのままローマ字表記しているが、「Park」と英語に改める予定だ。英語以外の言語の併記も検討してもらいたい。

政府や観光関係機関の調査では、訪日外国人が最も不便さを感じるのが標識の不備である。案内版やピクトグラム(絵文字)の増設を進めなければならない。外国人が街を歩く際に、目的地までの所要時間を確認できるようにしていく必要もある。

電車、バス、タクシーなどの交通機関にも、多言語で表示された案内情報を気軽に利用できる試みを望む。一部のデパートや家電量販店が行っている外国語で接客できるスタッフの育成も喜ばれるはずだ。

観光案内所の利便性も一段と高めたい。観光客の大半を占める個人旅行客は、案内所を大いに活用する傾向がある。見つけやすい立地に設置したり、ひと目で案内所だと分かるようにデザインを工夫することが重要だろう。

さらに、電話やインターネットを活用した情報提供の窓口の整備も進めたい。

旅行先での困りごとを尋ねたり、相談できると旅の安心感は高まる。そのためには、街中で無料のインターネット接続ができる公衆無線LAN(WiFi=ワイファイ)の整備は有効な取り組みの一つである。

福岡市が進めている公衆無線LANは4カ国語に対応、接続するとすぐに同市が提供する観光案内サイトにつながる。同市を訪れた旅行客からの評価は高い。

急増しているイスラム圏からの旅行客への対応も向上させたい。一部の食材が食べられないなどのイスラム圏の食習慣を学び、調理方法やメニュー作りに生かすことが必要だ。

今後、ますます多様な文化を持った旅行者が増える。さまざまなニーズに応えていける“おもてなし”を進めていきたい。

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