主張留学生の奨学金 支給対象者の大幅増加を

公明新聞:2013年9月14日(土)付

海外生活の経済的な基盤強化に必要

日本の経済成長には、企業の国際競争力の向上と、世界で活躍するグローバル人材の育成が欠かせない。

政府は成長戦略「日本再興戦略」にグローバル人材の育成を盛り込み、本格的な留学生支援と大学改革に乗り出す。2020年までに外国人留学生30万人、日本人留学生12万人へ、それぞれの人数を倍増する目標を打ち出している。

文部科学省は、政府の同戦略を踏まえ、来年度予算の概算要求に必要な対策費を盛り込んだ。実現すれば、海外留学の給付型奨学金は、修士号や博士号取得をめざす長期留学生分が2.5倍の500人に拡大される。交換留学など1年以内の短期留学生分は3倍の3万2000人となる。無利子奨学金も1万2000人分を新設する方針である。

現在、検討が進められている国内の学生向けの給付型奨学金の創設とともに実現を急いでもらいたい。

海外に留学する日本人学生は、約6万人(10年度)。ピーク時の04年と比べ3割も減少している。世界の留学生数に占める日本人留学生の比率も4.1%(05年)から3.6%(09年)に落ち込んでいる。

日本人留学生の減少は、国際分野での人脈の広がりや、交流拡大が頭打ちになり、日本の国際的影響力の低下にもつながりかねない。

グローバル化が急速に進む今、留学は語学の習得や異文化との接触といった効果にとどまらず、ビジネスや研究を行う人脈構築の機会としての重要性を増している。

米国が大学の国際競争力の向上と留学生の受け入れ拡大に力を入れているのは、国力や国民の利益につながっていくからだ。

日本の留学生政策に、この視点が弱かったことは否めない。

20年には東京五輪が開催される。日本に対する注目度は、大きく高まる。当然、海外から日本を訪れる人々も増加する。外国人との交流は、日本の若者が海外に対する認識を変える機会になることは間違いない。グローバルな視点を持つ人材が育成される好機といえる。

進学希望の高校生対象の民間調査では、留学の意向が「ない」との回答が、「ある」を上回っている。最大の理由は「費用が高い」(44%)からだ。経済的な理由で留学を断念させてはならない。

奨学金を受ける対象者が増えれば、留学を諦めている学生の背中を強く押すだろう。ぜひ実現してもらいたい。

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