主張日本の技術力 海外展開加速する戦略を

公明新聞:2013年8月20日(火)付

政府は支援体制の整備に力を注げ

新興国を中心に世界の市場が拡大する中、各国は新たな需要を取り込もうと、激しい競争を繰り広げている。日本も後れを取ってはならない。わが国が世界に誇る技術力を積極的にアピールし、海外展開の加速に向けて戦略的に取り組むべきだ。

世界が高く評価する日本の技術力の一つは、防災分野である。地震や豪雨などの自然災害は世界各地でも増加している。防災力の強化に対する各国の関心は高い。

太田国土交通相(公明党)は先週、訪問先のミャンマーで、同国と「防災協働対話」の枠組みを構築することで合意した。産官学の連携で防災上の課題を共有し、解決に当たる仕組みで、防災技術の海外展開に弾みがついた。

老朽化対策で注目されるインフラの維持管理技術も日本の水準は極めて高い。

タイでは一昨年の10月から先月まで、国際協力機構(JICA)の事業として首都高速道路会社などが地方道路の維持管理を支援した。日本には離れた場所から内部の損傷などを発見できる非破壊検査技術など、優れた技術が多くある。インフラの老朽化対策は将来的に各国が直面する問題であり、この分野でも日本は大いに貢献できるはずだ。

ほかにもある。今後、高齢化が進む国にとっては、世界最高水準にある医療・介護分野の技術は羨望の的だ。日本の医療サービスが体験できる医療ツーリズムは訪日外国人から人気が高い。中国などへの進出が進む富裕層向け介護施設は、丁寧で質の高いサービスが好評を博している。

将来的に普及が見込まれる再生可能エネルギーの分野でも、福島県沖で今秋から実証研究が本格化する浮体式洋上風力発電の技術などは世界の最先端を走っている。日本が持つ、あらゆる分野の高度な技術を、自信を持って海外に売り込んでいきたい。

日本の高度な技術力を海外で存分に発揮し、現地の生活水準を向上させることは、両国にとって大きなメリットになる。

海外展開の加速には、政府の力強い支援が欠かせない。

政府は6月に決定した成長戦略に沿い、海外で現地の日本企業の相談に応じる「ワンストップ窓口」を今月末までに10カ所設置するめどを立てたが、もう一段の拡充が必要だ。さらに、海外展開を日本国内から現地まで一貫して支援する体制づくりや、閣僚らのトップセールスも含めた海外向け広報宣伝の強化など、海外展開を後押しする環境整備に力を注ぐべきである。

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