主張返済不要の給付型創設を

公明新聞:2013年7月9日(火)付

若者の学ぶ意欲を支える制度
奨学金の拡充

奨学金制度の拡充に向けて、文部科学省の検討が進んでいる。同省内に設けられた検討会で示された「中間まとめ」案には、公明党が創設を訴えている「給付型」奨学金や無利子奨学金、延滞利率の引き下げなどの内容が並んだ。

返済の必要がない給付型については、検討会の委員の間でも「給付型が要らないという方はいらっしゃらない」との認識で一致。ただ、支給開始の段階から給付するのか、進級や卒業時に一定の成績を修めた場合に返還を免除するのかなど、制度設計上の論点が多く残っている。今後も議論が続けられる見通しだ。

貸与型の奨学金は、無利子を基本として拡充する方向にある。貸与型の奨学金のうち無利子奨学金を受けている学生の割合は17.0%にとどまっている。貸与枠を広げる対策を期待する。

年10%の延滞利率も見直すべきだ。現在、国税の延滞税は、2カ月間で年7.3%、3カ月を超えると年14.6%の2段階となっている。来年からは利率が10%以下になる見通しだ。これと比較すると、奨学金の延滞利率は高すぎないだろうか。引き下げは早急に実施すべき課題である。

こうした拡充案について、文科省は「中間まとめ」を作成し、一定の方向性が固まった内容について、来年度予算案の概算要求に反映させる考えだ。

文科省は今春、公的教育費の支出はOECD(経済協力開発機構)諸国並みを目指す、と政府の教育振興基本計画の原案に初めて表記した。奨学金の拡充を、ぜひ実現してほしい。

ただ、いずれも財源が必要となるため、実現は容易ではない。

過去にも同省は給付型創設の概算要求を行ったが、財務省に認められなかった経緯がある。今回は、何としても実現してもらいたい。

世帯の年収に占める教育費の割合は年々、増加している。日本政策金融公庫の調査では、昨年度は過去10年間で最高を記録した。大学進学で保護者が重要視する情報のうち「進学費用」は52.3%を占めるとの民間調査もある。

入試制度や子どもの学力、意欲といった要素よりも、教育費への関心が高くなっている。経済的な理由から若者の就学機会が制限されないようにしなければならない。

今の大学生の多くは、生活を切り詰めて学業に励んでいる。学ぶ意欲を支える制度として奨学金の拡充は実現すべきである。

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