ネット選挙解禁Q&A

公明新聞:2013年4月19日(金)付

夏の参院選からどう変わる?

インターネットを使った選挙運動を解禁する公職選挙法改正案の成立が確実となり、7月予定の参院選からネット選挙がスタートします。解禁で選挙運動はどう変わるのか。Q&A方式でまとめました。

ー解禁で何ができるのか?
ウェブを通じて投票依頼


今回の公選法改正は、現行法で禁止されている「選挙運動」(別掲参照)でのインターネットの利用を解禁するものです。

解禁されるのはまず、ネット上にあるホームページ(HP)やブログなどウェブサイトの利用です。これまでは選挙運動期間に入ると、政党や候補者は自身のHPやブログを更新することができませんでしたが、それが可能になります。選挙運動期間中にネットで公約や政策を訴えたり、支持や投票を求めたりすることができます。

また、ツイッター(短文投稿サイト)やフェイスブック(FB、交流サイト)に代表されるソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)も選挙運動に利用できるようになります。

HPやSNSなどでは、政党や候補者だけでなく、一般有権者も「○○党に1票を」「△△候補に投票しよう」などと特定の政党や候補者への投票を呼び掛けることができるようになります。

このほか、政党や候補者が、ネットを使って個人演説会の告知や生中継をしたり、街頭演説の動画やPRビデオなどを動画共有サイトのユーチューブやSNSを通じて配信することも可能になります。

選挙運動

公示日(地方選では告示日)から投票日前日までを選挙運動期間といい、その期間中に特定の候補者の当選のために行う運動のこと。
現行の公選法は、選挙運動に使用できる「文書図画」をポスターやビラ、はがきなどに限定。インターネットのホームページなどは公選法上の「文書図画」に含まれず、選挙運動に利用できないとされている。
なお、選挙運動期間以外は、これまで通りネットを含めて投票依頼することは禁止されている。

ー有権者のメリットは?
情報受け取る機会増え 双方向のやり取りも


一般有権者の側から見ると、ネット選挙解禁によって、政党や候補者から発信された公約や政策、実績などの情報をはじめ、政党や候補者が提供する動画などについて、選挙期間中でもリアルタイムで受け取ることが可能になります。

例えば、スマートフォン利用者であれば、政党や候補者が専用のアプリを作成している場合、それをダウンロードすれば手軽に文書や写真、動画などの情報を入手できます。このため、有権者にとって、政党や候補者を選択する際の判断材料が増えると期待されています。

また、政党・候補者と一般有権者との双方向のやり取りができることも、メリットの一つです。関心を持った政策について、自らの考えを発信したり、疑問を投げ掛けたりすることで、政党や候補者、他の有権者から回答を得ることも考えられます。

その結果、政策に関する議論が活発化して政治への関心が高まることや、積極的な政治参加につながることも期待されています。

ネット解禁で政治がより身近になります。

ーメール解禁はどこまで?
発信は政党・候補者に限定


今回の公選法改正では、電子メールによる選挙運動ができる対象を政党と候補者に限定しています。

政党や候補者は、事前に同意を得た一般有権者に「わが党に投票を」「私に1票を入れてください」といったメールを送ることができます。しかし、有権者がメールで選挙運動することは認められず、他の有権者にメールで特定の政党や候補者への投票を呼び掛けることはできません。

メールでの選挙運動を政党や候補者に限定した理由は、メールは個人同士のやり取りになるため、密室性が高く、なりすましや誹謗・中傷があっても、素早く発見し取り締まることが難しいためです。

また、選挙運動に関するメールを同意していないのに送られたり、ウイルスなどが添付された悪質なメールを送信される恐れもあり、今回はメールについて慎重に対応することにしました。

ただし、公選法改正案の付則に「次々回の国政選挙までに必要な措置を講じる」として、有権者のメール送信などの課題については、あらためて検討していくことになっています。

なお、ネット上の有料広告(バナー広告)は政党に限って認められます。

ー違反対策、罰則はあるか?
なりすましや中傷に対応


なりすましや誹謗・中傷への対策として、名誉を傷つけるような書き込みがなされたHPやブログが見つかった場合、通報することで、ウェブサイトの運営者やインターネット接続業者(プロバイダー)が、いち早く削除できる「プロバイダ責任制限法」の特例を設けています。現行法では、プロバイダーが書き込みをした人から同意を得る猶予期間を7日間としていますが、特例的に2日間で削除できるようにしています。

これには罰則もあります。氏名を偽り候補者になりすましてウェブサイトを開設した場合は、禁錮2年以下または30万円以下の罰金が科せられます。また、政党や候補者以外の一般有権者が選挙運動の電子メールを送信した場合には、禁錮2年以下または罰金50万円以下となっています。

ーガイドラインとは?
メール転送禁止など検討中


ネット選挙の運用のあり方について、各党は参院での公選法改正案の審議も踏まえ、法案成立後にガイドライン(指針)を発表する予定です。

例えば、(1)政党や候補者からのメールを一般有権者が他の有権者に転送することはできない(2)原則としてHPのトップページにメールアドレスなどの連絡先情報を表示する(3)ウェブサイトや電子メールに添付した公約などの文書を印刷して配ることはできない―といった規定などが検討されています。

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