3ワクチン定期接種化の意義は
公明新聞:2013年4月16日(火)付
子宮頸がん、ヒブ、小児用肺炎球菌
公明党の働き掛けが実り、3月、予防接種法が改正され、4月から子宮頸がん、ヒブ、小児用肺炎球菌の3ワクチンが、国が感染予防のために必要としている定期接種に追加されました。対象年齢のうちに保健所などで接種を受ける場合、費用の9割が公費負担の対象範囲になります。今回は3ワクチン定期接種化の意義を薗部友良・元日赤医療センター小児科部長に聞きました。
ワクチンで防ぐべき病気の定期接種化は画期的なこと
―3ワクチンが定期接種化された意義は。
薗部 ヒブ、小児用肺炎球菌、子宮頸がん予防(HPV)の3ワクチンはこれまで任意接種ワクチンでした。今までの厚労省の歴史を考えると新しいワクチンの定期接種化は大変画期的なことです。
この3ワクチンで防げる病気に限らず、風しんや水ぼうそうも含めてワクチンで予防できるすべての病気(英語でVPD)は、どれも決して侮れない病気です。いくら現代医学が進歩しましても、かかってしまってからでは根本的な治療法がなく、ワクチンで防ぐべき病気です。
天然痘はワクチンのおかげで、地球上からなくなりました。あるワクチンを国民の100%が受ければ、これらの病気の発生がその国からなくなります。80、90%という100%に届かない数字でも病気の種類によっては、国から追い出すことが可能です。はしかでいえば95%、風しんは80~85%くらいの人がワクチンを受けていれば流行は起こりません。ですからワクチンを受けられなかった人も守られます。これを集団免疫効果といいます。接種率を上げるためには、助成を受けてワクチンを受けられる定期接種化が必須です。
―子宮頸がんワクチンを打って、副反応(副作用)が現れたという中学生のことが報道されていましたが。
薗部 まず、受けた後に起こった(見られた)症状や病気のことを有害事象といいます。この中にはワクチンとの因果関係がある真の副反応と、因果関係がないニセの副反応があることを覚えてください。そして、接種後に起こった(見られた)重い病気に関しては、ほとんどが真の副反応ではないことが世界中で認められています。
子宮頸がんワクチンを受けると、時に失神が見られます。失神するのは痛いためではなく、痛いという噂を聞いていて緊張するからです。受ける前に倒れる人もいます。痛いと聞いていたが、受けてみたら「たいしたことはなかった。ああ、良かった」と緊張が解けて、バタンと倒れる人もいます。失神は子宮頸がんワクチンだから起こるのではなく、ほかのワクチンでも起こります。
また、同じく献血や採血でも起きます。10代の女性に多いもので、どれも緊張した状態で受けるからです。つまり、ワクチンの成分で起こるのではなく、接種という行為を通じて、ほかの行為と同じように起きます。緊張する方は、頭を打たないように、最初から横になって受けることが大切です。
―公明党の定期接種化への取り組みは。
薗部 公明党を含めて皆に理解していただき、国会で定期接種化の法案を成立してもらいました。私の知る限りでは、中でも一番国会で取り上げていただき、積極的に推進していただいたのは公明党ですので、大変感謝しています。
子どもや国民を守るために必要なワクチンの定期接種化の取り組みは、すべての政党にとって当たり前過ぎることであって、ほかの党ももっと積極的になってほしいものです。多分、予算の問題が関係していると思っていますが、それでも日本国民のために極めて大切です。
公明党には、残る子どもの4ワクチン(水ぼうそう、おたふくかぜ、B型肝炎、ロタウイルス)の定期接種化もより一層推進していただきたいと願っております。
公明党の取り組み
国会、地方議員が連携して推進
日本は、先進諸国と比べ、公的に接種するワクチンの種類が少ない「ワクチンギャップ」が指摘されている。公明党は、ワクチンギャップの解消を訴え、3ワクチンの国内早期承認と予防接種法の改正を主張。国会議員、地方議員が連携して取り組み、市区町村に財政支援を行うための基金を実現する一方、地方自治体の公費助成を拡大するなど、党挙げて取り組んできた。
今回、3ワクチンが定期接種化されたが、厚労省審議会の予防接種部会は昨年、水痘(水ぼうそう)、おたふくかぜ、成人用肺炎球菌、B型肝炎の4ワクチンについて予防接種法の対象疾病に加えることを提言。公明党は4ワクチンの定期接種化を強く求めている。
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