食物アレルギー 給食事故の再発防げ
公明新聞:2013年2月19日(火)付
文科省が検討会議設置へ
公明が提案
昨年12月に東京都内の市立小学校で、女子児童が給食が原因とされる食物アレルギーの重篤な症状「アナフィラキシーショック」で亡くなった問題を受け、文部科学省は学校給食での食物アレルギーによる事故を防ぐための取り組み強化に乗り出す。
学校全体での取り組みめざす
昨年末の学校給食時に起きた事故では、アレルギー原因食材のチェック体制や緊急時の対応の在り方などが課題として指摘されている。
このため、文科省は来年度予算案に、専門家らで構成する学校給食のアレルギー対応検討会議の設置に1200万円を盛り込んだ。会議では、学校給食における食物アレルギー対応を充実させる検討を行う。また、全国の学校でアレルギー対応が実施されてきたか実態調査も行い、対策をまとめる。
検討会議の設置については、公明党アレルギー疾患対策プロジェクトチーム(江田康幸座長=衆院議員)が昨年12月、「専門家による委員会を立ち上げ、徹底した事故の検証と今後の対策に力を入れるべきだ」と強く要請していた。
さらに、公明党は文科省に対して、養護教諭や栄養士など特定の人に対応を任せるのではなく、学校全体の共通理解をもとに対応を進めることなどを求めている。
アレルギー疾患のなかには重篤な症状を引き起こす場合があり、慎重な対応が求められる。文科省が全国の公立学校の児童・生徒約1280万人を対象に実施した調査(07年発表)では、食物アレルギーがあるのは2.6%、食物アレルギーなどに伴う急性症状のアナフィラキシーショックを起こしたことがある児童も0.14%に上っている。
こうした状況を踏まえ、公明党が主張し、アレルギー疾患のある子どもへの対応指針をまとめたガイドラインが、小中高校・幼稚園向け(監修・文科省)と保育所向け(同・厚生労働省)にそれぞれ作られている。
ガイドラインでは、子どものアレルギー情報と対応を学校や保育所の教職員など関係者全員が共有し、緊急時には、ショック症状を和らげる自己注射薬(製品名「エピペン」)を、本人に代わって教職員や保育職員が使用するなどの対応も促している。
しかし現状では、ガイドラインが十分に活用されているとはいえないことから、公明党は関係者に対する積極的な研修の実施を訴えている。今後、より一層ガイドラインを周知させ、関係者全体に正しい知識を広めることが求められる。一方で、小中高校など向けのガイドラインは作成から5年がたったことから、実態を踏まえ内容を充実させていくことも求められる。
学校や保育所などでの課題に取り組んでいるNPO法人アレルギーを考える母の会の園部まり子代表は、来年度予算案に検討会議の設置が盛り込まれたことを歓迎するとともに、「学校や保育所などの教職員全員の共通理解があってこそ、適切な対応ができる。そのために必要な小児アレルギー専門医による研修を教育委員会などで実施してほしい」と話している。
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