鉄道駅のバリアフリー化
公明新聞:2013年2月14日(木)付
現状と課題は
エレベーターやホームドア設置による鉄道駅のバリアフリー化。現在、1日の平均利用者3000人以上の駅の約8割で段差解消が達成されるなど、高齢者や障がい者にとって、“暮らしやすいまちづくり”が大きく進んでいる。2012年度補正予算案と13年度予算案のいわゆる「15カ月予算案」にも鉄道駅のバリアフリー化に関する予算が計上され、一層の促進が期待されている。バリアフリー化の現状を探った。
暮らしやすいまちづくりへ
利用者3000人以上の駅対象に 約8割で段差解消済み
エレベーターなどでスムーズに移動
都営地下鉄大江戸線の都庁前駅―。地上に設置されているエレベーターに乗り込むと、地下の改札階に到着する。改札を抜け、さらにホーム行きのエレベーターに乗り換えて下に向かう。扉が開くと目の前はもう大江戸線のホーム上で、地上から地下約18メートルのホームまでスムーズにたどり着くことができた。
東京都交通局は、誰もが利用しやすい都営地下鉄をめざし、バリアフリー施策として、地上からホームまでエレベーターなどを使って容易にたどり着ける「1ルート」の確保に取り組んできた。都営地下鉄4路線全106駅のうち、12年度中に103駅、13年度中に全ての駅で1ルートの確保が完了する予定だ。
「エレベーター設置は、高齢者にとって、こんなにありがたいことはありません。助かっています」。同線の落合南長崎駅が最寄り駅で、日常的に同線を利用している東京都新宿区在住の江尻ていさん(71)は、うれしそうにこう語る。ほかにも、「病院へ通うのに地下鉄を使うので、非常に助かっている」などの声が利用者から上がっており、駅のバリアフリー化は、高齢者にとっての“暮らしやすいまちづくり”に欠かせない取り組みだ。
国土交通省によれば、全国の1日の平均利用者が3000人以上の駅(3442駅)のうち、11年度末現在で、2788駅でエレベーターなどの設置により段差が解消され、進捗率は約8割に上っている【グラフ参照】。
ホームドア設置は539駅
転落防止対策として高い効果
エレベーター設置などの段差解消によるバリアフリー化とともに、視覚障がい者のホーム転落防止のため、ホームドアの設置も進められている。これまでは、地下鉄や新交通システムを中心に設置されており、都営地下鉄では、今年6月までに大江戸線の全38駅に設置され、既に設置済みの三田線の全27駅と合わせ、106駅中65駅で設置が完了する。ほかにも、JR東日本の山手線では、10年6月に恵比寿駅で初めて設置されたのを皮切りに、順次設置が進み、来年度中には11駅まで拡大する予定だ。
ホームドア設置は、ホームへの転落防止という安全対策の効果が高い。三田線では設置以来、転落事故発生件数はゼロで、都交通局の担当者は「ホームドアの設置は、心理的な安全効果もある」と強調している。
国土交通省によれば、ホームドアが設置されている駅は全国539駅(12年9月末現在)だが、思うようには設置が進んでいない面もある。「ホームドアの設置には高額なコストが掛かり、技術的な課題も多い」と同省鉄道局の尾坂直哉専門官が指摘するように、駅の構造によっては、ホーム全体の大規模な補強工事が必要になる場合があるからだ。また、複数の路線が乗り入れる「相互直通運転」を行っている路線では、列車ごとにドア数が違うことなどもあり、設置が容易ではない一つの要因となっている。
「15カ月予算案」にも計上
公明 バリアフリー化を一貫して推進
バリアフリー化推進について国土交通省は、1日の平均利用者3000人以上の駅を対象に、20年度末までの段差解消完了をめざしている。ホームドアについては、同10万人以上の駅への設置を目標にしている。ただし、コスト面などでホームドアの設置が困難な場合には、ホームの内側を示す線状突起が付いた「内方線付き点状ブロック」を速やかに設置することで対応する方針だ。
12年度補正予算案、13年度予算案のいわゆる「15カ月予算案」では、(1)地域公共交通確保維持改善事業(2)都市鉄道整備事業費補助(地下鉄)として、鉄道駅のバリアフリー化推進のための予算を計上しており、尾坂専門官は「今後も引き続き、バリアフリー化促進に取り組んでいきたい」と強調している。
鉄道駅のバリアフリー化については、公明党が主導した「交通バリアフリー法」(00年施行)が突破口となり、それまでの鉄道事業者任せの取り組みから、国が責任を持って推進することとなり、全国の駅で拡大が進んできた。また、ホームドアについても、公明党の強い主張により、06年施行の「新バリアフリー法」で、駅の新設や大規模改良を行う際には一定の条件でホームドアの設置が義務付けられるようになった。
党国土交通部会の高木陽介部会長(衆院議員)は、「バリアフリー化の促進は、高齢者、障がい者の生命を守るために必要な施策だ。今後も、国として財政的な支援も含め、取り組んでいきたい」と述べている。
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