再生医療の現場を支援

公明新聞:2012年10月13日(土)付

手袋の上から培養表皮シートを当て、説明を聞く渡辺座長、古屋範子事務局長ら=12日 愛知・蒲郡市手袋の上から培養表皮シートを当て、説明を聞く渡辺座長(中央右)、古屋範子事務局長(同左)ら=12日 愛知・蒲郡市

推進へ法的枠組み必要
愛知県で党プロジェクトチーム
大学、企業の先進事例視察

山中伸弥・京都大学教授のノーベル医学・生理学賞受賞で注目が高まっている再生医療の課題を探るため、公明党の再生医療推進プロジェクトチーム(PT、渡辺孝男座長=参院議員)は12日、名古屋市昭和区の名古屋大学附属病院と愛知県蒲郡市の株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J―TEC)を訪れ、関係者から話を聞いた。

名古屋大学病院では上田実教授を中心に、特定の細胞に変化する前段階の「幹細胞」を培養した際の上澄み液や、それを乾燥させた粉末を用いた「再生因子療法」に取り組んでいる。

上田教授は増え過ぎた細胞が、がん化する可能性も指摘されている幹細胞移植に比べ、再生因子療法は安全性が高いと強調。完全に意識が喪失した状態で搬送された急性脳梗塞の患者に対し、60日にわたって鼻から再生因子を投与した結果、社会復帰できるまで回復した症例などを紹介した。

その上で上田教授は、「再生因子は薬剤でもなく、医療機器でもない。新たな法的枠組みが必要だ」と要請。坂口力副代表は、再生医療が治療現場で実際に行われていることに言及し、「医療現場をバックアップしていく法律が必要だ。まず基本法を制定して国の責務を明らかにし、(研究に対する)努力を支援しなければならない」との考えを示した。

一方、J―TECは日本初の再生医療製品として2007年10月に自家培養表皮「ジェイス」が、12年7月には自家培養軟骨「ジャック」がそれぞれ承認を受けた。現在、国内の再生医療製品は同社の2製品のみ。両製品とも患者の皮膚や軟骨を採取して培養し、本人に使用する。

小澤洋介社長は再生医療を産業化するには競合企業が必要だと指摘。「新たな取り組みに挑戦する企業への資金的な支援が必要だ」と訴えた。

一連の視察を終えた渡辺座長は、「世界に貢献できる技術、製品を日本から発信していくための支援を、法整備とともに進めていきたい」と述べた。

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