主張利点多い国産エネルギー

公明新聞:2012年6月30日(土)付

再生可能エネ 普及へ技術革新の促進を

電力の買い取り制度

あす7月1日から再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度がスタートする。

これに併せ、太陽光発電などへの民間企業の事業参入表明が相次ぐ一方、地方自治体も使い道のなかった遊休地への事業者誘致などに積極的に乗り出している。

特に過疎が進む地域では、これらの企業誘致が雇用創出や地域活性化につながることが期待されることから、誘致には特段の熱が入る。

これは、産業界のみならず社会全体が再生可能エネ普及へ動き出す誘因に買い取り制度がなっている証しだ。

実際、再生可能エネの導入量が世界一のドイツでは、2004年に同制度による太陽光発電などの買い取り価格を引き上げたことで導入が一気に進んだ。翌年には日本を抜いている。

11年末には太陽光発電の累積導入量は2468万キロワットにも上っている。実に、日本の5倍近くの量である。

日本でも、同制度のスタートが再生可能エネ普及の大きな弾みとなってほしい。

脱原発依存の推進、二酸化炭素(CO2)削減とともに、エネルギー安全保障の強化にもつながると期待される。なぜなら再生可能エネは「国産」であるからだ。

日本のエネルギー自給率は原子力を除けば4%に過ぎないのが実情だ。

昨年の東京電力福島第1原発事故以降、原発の稼働停止が相次いだが、それを埋め合わせているのは主に火力発電で、発電に必要な石油やガスなどの化石燃料は海外からの輸入に頼っている。

その輸入総額は国内総生産(GDP)の4%に及ぶ21.8兆円にも上り、これに加えて国際情勢の変化や価格高騰などのリスクも含んでいる。

こうした事情を考えると、再生可能エネの普及は、海外へ出ていく資金を国内に回す重要な特長もある。

ただし、同制度は発電コストの高い再生可能エネ発電を採算の取れる事業とするために、あえて高めの買い取り価格を設定している。

その負担は電気利用者が負う。このため、電気料金は8月から標準的な家庭で月75円~111円程度上がる。買い取り価格の改定は毎年検討されることになっているが、今後、普及が進めば、負担はさらに増えることになる。

これを抑制するためにも、発電コストを下げる技術革新を急がなければならない。加えて、技術革新を進めるための政策支援や規制緩和・撤廃など、国を挙げた推進が不可欠だ。

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