斉藤幹事長代行の賛成討論(要旨)

公明新聞:2012年6月27日(水)付

景気対策 前倒しで行え
社会保障の全体像 増税前の明確化を担保

公明党の斉藤鉄夫幹事長代行が26日の衆院本会議で行った賛成討論の要旨は次の通り。

世界に類を見ない高齢化が進展するわが国において、持続可能な安定した社会保障制度をどう構築し、安定財源を確保していくのかは、待ったなしの課題です。公明党は社会保障制度と税制の抜本改革の必要性を認識し、2009年の改正所得税法の付則に改革の方向性を示す努力を続けてきたところです。

特別委員会では社会保障の全体像について、政府から明確な姿が示されることはありませんでした。消費税増税の前提として、社会保障の全体像を示すことや景気・経済対策、低所得者対策などの制度設計を明確にする必要がある。そのために協議を通じてわが党の主張を最大限反映させるべきと考え、修正協議に臨みました。

協議の結果、社会保障の全体像は今後「国民会議」における審議を踏まえ、消費税増税が実施されるまでに明確化することとし、それなしには増税できない仕組みとなりました。また、防災・減災対策をはじめとする経済対策を講じ景気回復を図ること、低所得者対策は消費税率8%引き上げ段階から講じることなど、「増税先行」ではない方向で合意しました。

社会保障制度改革推進法案では、年金、医療、介護、子育ての課題は「国民会議」での議論を経て、消費税増税前までに必要な法制上の措置を講ずるものとしています。社会保障の全体像を消費税増税前までに明確にすることが法的に担保された点は極めて重要であると考えます。

景気が低迷したまま増税を実行することは、かえって日本経済や国民生活に悪影響を与えかねません。公明党は景気回復を確実にするために、防災・減災対策に資する投資を集中的に行うべきと主張してきました。

税法の修正案に、景気・経済対策の検討条項が盛り込まれたことや、増税の実施時期は時の政権が景気回復の状況を確認し、判断するとしたことは評価します。今後の経済状況に鑑み、できる限り前倒しで景気・経済対策を講じ、必要に応じて補正予算も編成すべきと強く申し上げます。

公明党の主張が反映された3党合意の主な項目消費税には所得の低い方ほど負担が重くなる逆進性の問題があり、低所得者対策は不可欠です。3党合意では、低所得者対策は消費税を8%に引き上げる時から確実かつ、しっかりとした対策を実行すること、「複数税率」導入も検討する旨を明らかにしたことは大きな前進です。

年金関連法案について、民主党は年金抜本改革の具体像を示せない中、現行制度に基づく改善案を提示してきました。この点は公明党が主張してきた方向性と概ね同じです。

政府案では年金の受給資格期間短縮や、短時間労働者の社会保険の適用拡大、厚生年金と共済年金の一元化など、公明党が以前から主張してきた通りの内容となっています。

低所得者への年金額の加算は、公明党が主張してきた定率加算を参考に、「福祉的給付」にて対応することで合意しました。また、消費税引き上げまでに、この給付に関する法律を成立させるとしており、公明党の主張を踏まえたものと評価するものです。

子育て関連法案について、幼保一体化への取り組みは現行の認定こども園の改正で対処することとなりました。市町村の保育の実施義務も、わが党の主張通り引き続き義務を担うように修正しました。社会全体で子育てを支援する総合的枠組みが整備されたことの意義は極めて大きいものと考えます。

なお、政府の試算では必要とされる財源は1兆円ですが、現時点で財源は不足しており、子育て、幼児教育、保育の質・量の充実のため、政府は財源確保に最大限努力すべきです。

消費税率引き上げは、持続可能な社会保障制度を構築するため、必要な安定財源を確保することの重要性に鑑み、また税率引き上げまでに社会保障改革を進めること、景気回復を確認すること、低所得者対策を具体化することが確保されたため、賛成するものです。

消費税以外の税目については、再分配機能強化の観点から、所得税の最高税率引き上げ、相続税の見直し、自動車取得税廃止を含めた自動車関連諸税の抜本的見直し、消費税増税に伴う住宅対策などの課題は、消費税引き上げ前までに結論を得るとしており、税制全体の改革が実行されることが担保されたものと考えます。

私たちは言うべきことは言う。歯止めをかけるべきはかける。その上で、国民生活にとって重要な改革を前に進めていく。このことを強く申し上げ、賛成討論を終わります。

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