命守る都市基盤の整備急ぐ
公明新聞:2012年6月15日(金)付
東京都のインフラ(社会資本)の多くは、1950年代後半からの高度経済成長期に整備され、コンクリート構造物の寿命が50~60年といわれることから、今後、一気に更新時期を迎える<グラフ参照>。このため都は現在、更新時期が集中しないように「アセットマネジメント」<別掲参照>の手法を取り入れて対応している。また、東日本大震災を経て、中長期の都市戦略「2020年の東京」を策定した。都議会公明党(中島義雄幹事長)は、都の取り組みを加速させ、災害に強い都市の構築を進めている。
橋りょう
都が管理する橋は1261本で、建設後50年を超える橋が、10年後には5割を超え、20年後には4分の3に及ぶ。都は、5年ごとに健全度を点検し、鋼材の腐食を防ぐ表面塗装や橋脚の補強など、長寿命化や耐震化に取り組んでいる。
このうち災害時の緊急輸送道路などに当たる橋(401本)の耐震化は、現状72%まで進み、2015年度までの完了をめざしている。
港湾・河川施設
港湾や河川の水門・排水機場など(都管理の44施設)は、完成後50年を経過する施設が、10年後には8割に達する。ただ、これまでに耐震化の取り組みは、73%まで進んでおり、20年までに全ての耐震化をめざすとともに、老朽化対策など、総合的な保全計画の策定を急いでいる。
下水道
整備後50年を経過する下水道(都管理、総延長約1万6000キロ)は、10年後に3割、20年後には5割を超える。中でも整備年代が古い都心の地域(1万6300ヘクタール)では、現状4分の1にとどまっている再構築(管内側の補強など)を、29年度までに完了させるため、スピードアップを図る。
一方、下水道の老朽化による道路の陥没が、年間1000件ほど発生しているため、衝撃に強い硬質塩化ビニル管への付け替えなども進めている。
上水道
都が管理する上水道の配水管(総延長約2万7000キロ)は、ほとんどが耐震性の優れたダクタイル鋳鉄管への付け替えが済んでいる。ただ、配水管の継ぎ手部の耐震化率は、27%にとどまっており、19年度までに48%まで倍増させる予定だ。
また、首都中枢機関や救急医療機関などの重要施設に供給する部分を集中的に耐震化し、20年までに完了させる。
無電柱化
阪神・淡路大震災で神戸地区の電話回線ケーブルの被害が、地中線は、架空線の約80分の1だったこともあり、電線の地中化(無電柱化)が急がれている。
都道における無電柱化は、現状32%(755キロ)で、センター・コア・エリア(おおむね首都高速中央環状線の内側)では、67%(391キロ)まで進んでいる。都は20年に向けて、同エリア内を完了させ、周辺区部や多摩地域でも現状の約2倍に拡大する。
木密地域の不燃化
木造住宅密集地域は、震災時の“最大の弱点”と言われ、不燃化対策が急務だ。同地域で、災害時に延焼を遮断し、避難や緊急車両の“生命線”となる主要な都市計画道路の整備は現状、約5割まで進んでいる。このうち都道について、20年までに100%整備をめざしている。
【社会資本のアセットマネジメント】橋や道路、河川・港湾施設、上下水道などの社会資本について、将来の状態を予測して計画的、効率的に整備・管理する手法。
「防災・減災ニューディール」に連動し、取り組みの強化を主張
都議会公明党
都議会公明党はこれまで、都の資産を適正に管理する新公会計制度の導入により、インフラの計画的な更新を促進してきた。現在、国全体として公明党が提唱している「防災・減災ニューディール」に連動して、都市基盤の強化に全力を注いでいる。
6日には、隅田川に架かる吾妻橋(台東区~墨田区)で進む長寿命化の工事現場を視察し、今後の取り組みを協議した。
吾妻橋が今の形状の橋に架け替えられたのは1931年で、築80年を超えているが、床版の取り換えなど改修を重ねてきた。今回の工事は、橋脚に強度の優れたポリマーセメントモルタルを巻き立て、寿命を延ばすもの。
都によると橋の架け替え事業は、新設よりも約2.7倍の費用が掛かる。また、都の橋りょう管理には、従来の手法では総事業費が今後30年間で、約1兆6000億円掛かるが、長寿命化など予防保全型の管理に転換することで、約5000億円まで大幅に縮減できる。担当者は「最新の技術により、100年以上“延命”させる事業だ」と説明した。
都議会では12日、第2回定例会の代表質問で公明党の長橋桂一議員が「首都直下地震に備えた都市インフラの強化に向けた抜本的な取り組みを加速させるべきだ」と主張した。その上で、多額な整備予算が必要な事業であり、民間資金も活用するよう提案するなど、“命を守る”都市インフラの整備を強力に推進している。
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