3次補正予算案 成立、執行急げ

公明新聞:2011年11月13日(日)付

公明党の主張が随所に反映

第三次補正予算案 主な震災関係事業東日本大震災からの本格復興などに向けた総額12.1兆円の2011年度第3次補正予算案が10日の衆院本会議で可決され、参院に送付された。民主党政権の怠慢で国会提出が著しく遅れたものの、同補正予算案には公明党の提言が随所に反映されている。そのポイントをまとめた。

被災地再生
学校の防災機能強化も促進


津波で壊滅的な被害に遭った工場地帯を視察する山口代表(右端)ら=4月16日 岩手・大船渡市第3次補正予算案の柱の一つは、被災地の復興を地域が主体的に進められるよう後押しする「東日本大震災復興交付金」(1兆5612億円)の創設だ。

復興に必要な各種の補助金を一括化し、ハード・ソフトの多様な事業を実施できるよう、自治体の使い勝手を良くしていることが特徴。高台への集団移転や津波浸水地域のかさ上げに対する支援など、街づくりや地域再生を強力に後押しするものと期待されている。

復旧・復興に向けた被災地の地方負担分については、地方交付税交付金を加算する「震災復興特別交付税」(1兆6635億円)で補填(ほてん)し、実質ゼロにする。同特別交付税は、今年度第1、2次補正予算で実施された復旧・復興事業にさかのぼって適用され、地方負担をなくす。

公明党が強く主張してきた結果、公立学校の耐震化と防災機能強化(計1627億円)が積み増しされた。これにより、学校の耐震化を一段と促進するとともに、水・食料・毛布・非常トイレなど防災備品の備蓄や自家発電の整備など、学校の避難所としての機能が拡充されることになる。

風力や太陽光など再生可能エネルギーの地域資源を活用し、災害に強い環境先進地域(エコタウン)にする事業も計上。第三セクター鉄道の復旧支援をはじめとするインフラ(社会資本)の整備や、大規模災害に備える観点から全国のミッシングリンク(高速道路が途切れた区間)解消への事業が盛り込まれた。

農林漁業支援
漁場・農地の復旧を後押し


“食料供給地・東北”の再生へ向け、第3次補正予算案には多くの事業が盛り込まれた。とりわけ壊滅的な打撃を受けた水産業に関しては、漁港や海岸の災害復旧事業に2346億円を確保し、漁港機能の早期回復と強化をめざす。漁業と養殖業の再開に向けては船の燃料代などの必要経費、漁船や漁具の導入費を助成する事業も実施する。

水産加工・流通の支援も重視し、加工、冷凍冷蔵、製氷などの共同利用施設の復旧に731億円を計上。1次補正の継続事業として、漁場のがれき処理に携わった漁業者に1日当たり1万2100円を支給する「漁場復旧対策支援事業」に168億円を追加した。

一方、農業では、被災した農地や農業用施設の災害復旧事業に2080億円を計上し、津波で塩害を被った田畑の除塩事業などに配分。用排水路やため池など農業水利施設の耐震強化に164億円を盛り込んだ。農地復旧に取り組む被災農家に支援金(水田10アール当たり3万5000円)を交付する「経営再開支援事業」を継続。営農再開を後押しするため、耕作放棄地の活用、集落内の農地集積などの支援事業を展開する。

林業では、復興に必要な木材を安定供給するための加工施設や、木質系がれきなどから発電する木質バイオマス施設を整備する。

原発事故対応
除染、風評被害対策を拡充


除染のモデル事業について聞く井上幹事長ら=10月17日 福島・伊達市原発事故対応は、公明党は「ふるさと再生事業」として除染費用2.3兆円を主張してきた。これを受け、第3次補正予算案では、放射性物質の除染費用として約2460億円が盛り込まれた。政府は現段階で、予備費や来年度予算などと合わせて1兆1000億円超の費用を確保する方針を示している。公明党は、除染態勢の拡充も含め、引き続き除染作業の加速を政府に迫っていく。

また、風評被害対策や販路開拓支援などによる企業支援では、約140億円が計上され、放射線量測定事業や輸出品の放射線検査費用への補助、中小企業の海外展開支援事業などを行う。

さらに、再生可能エネルギーの研究開発では、1000億円程度の予算で、福島県などの被災地に、太陽光や風力発電を推進、IT(情報技術)の利用でエネルギー効率を高め、省エネを徹底する「スマートコミュニティー」の導入を進める。

放射線治療に関する国際的な医療センターの整備では、福島県の基金に拠出するために690億円を計上。このほか、放射性がれきの処理費用では450億円、子どもの食の安全確保では、学校給食用食材の検査などのために1億円の予算を盛り込んでいる。

暮らしを守る
中小企業、住宅、医療に配慮


震災で大きな被害を受けた中小企業の再起と経営安定化に向け、第3次補正予算案には資金繰り支援などで約6200億円を計上した。また、産業空洞化や雇用喪失を防ぐため、工場や研究施設など生産・開発拠点の国内立地を促す補助金として5000億円を充てた。原発事故があった福島県に重点配分する。

今年7月末で終了していた住宅エコポイントも復活させる。省エネ住宅を新築する場合、被災地では1戸当たり最大30万円相当、その他の地域でも同15万円相当のポイントを付与。ポイント交換対象商品は「環境」と「被災地支援」に特化した。

このほか、3次補正には、壊滅状態にある被災3県の医療提供体制を再構築するため、地域医療再生基金を720億円積み増した。医療機関の再整備のほか、医師や看護師の確保などを進める。さらに被災者の心のケア対策として、仮設住宅に入居した人に対する訪問相談などを行うほか、「心のケアセンター」も設置する。

一方、今年5月の第1次補正予算編成に際し転用した、基礎年金の国庫負担引き上げ分の財源(約2.5兆円)も、民主、自民、公明3党の確認事項に基づいて補填される。

財源確保
決算剰余金の活用などで税負担抑制


政府の試算によれば、震災復興などに必要な財源は、今後5年間で16.2兆円(今年度第1、2次補正予算などを除く)。政府・与党は、このうち5〜7兆円を税外収入や歳出削減で確保し、残りを増税で賄う方針だ。増税分は政府が発行する復興債の償還(返済)に充てられる。

復興債の償還期間や増税項目などについては、与野党で考え方に開きがあったが、民主、自民、公明の3党が協議した結果、償還期間は政府案の10年から25年に延長。増税に伴う1年間の税負担は当初より軽くなった。

また、政府・与党が主張していた、たばこ税の増税は撤回され、その分を所得税や個人住民税の増税で賄うことになった。

公明党は今後、復興経費が増額しても、財源確保のための新たな増税は行わないよう求めるとともに、国民の税負担を抑えるため税外収入を積極的に復興財源に充てる必要性を強調。9日の衆院予算委員会で公明党の石井啓一政務調査会長は税収増に伴う決算剰余金を復興財源に活用するよう訴えた。

これを受け、民主党は10日の3党政調会長会談で決算剰余金を借入金などの償還財源とする際、復興債の償還財源に優先して充てる方針を示した。

復興遅らせた民主政権
責任感、スピード感 全くなし


東日本大震災の復旧・復興に「遅い、鈍い、心がない」対応を繰り返してきた民主党政権。本格的な復旧・復興に向けた補正予算の編成に関しても、公明党が強く促したにもかかわらず、スピード感がまるで見られなかった。復旧対策を盛り込んだ今年度第1次補正予算は、発災から約50日を経て、5月2日にようやく成立した。

その後、6月2日に内閣不信任案をめぐり菅直人首相(当時)が突如、「偽装退陣」(山口那津男代表)を表明。菅内閣は“死に体”状態に陥った。ところが、菅首相は、その場しのぎの延命を狙って、規模、内容などが中途半端な2次補正を編成。被災地が「一日も早く」と求めていた本格的な復興事業は3次補正に先送りされてしまった。

さらに、民主党は当初、3次補正の提出を「8月の盆明けか9月上旬」と説明していたものの、菅内閣が通常国会の会期を「70日間」延長して居座り続けたために、3カ月間の政治空白が発生。その間、3次補正は遅々として進まず、結局、提出は10月28日と大幅にずれ込んだ。既に被災地には厳しい冬が迫っている。

長い間、復興策の予算が不明確にされた状況の下で、被災自治体は「国の方針がはっきりしないと前に進めない」として、復興計画の具体化が難航。復旧・復興に深刻な支障が生じている。まさに「民主党の政権与党としての自覚、責任感、スピード感の圧倒的な欠如」(斉藤鉄夫幹事長代行)がもたらした事態であり、被災地から憤りの声が上がっている。

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