第34回 砂の美術館に行ってみました。Vol.2

圧巻の建物群に思わずため息…

▼「クレムリンとワシリー大聖堂(上段)」「エカテリーナ宮殿」
それぞれロシアの建築美の粋がつぶさに再現されていてまさに圧巻

クレムリンとワシリー大聖堂は、高い土台の上、天井にまで届くほどの建物群の作品でまさに圧巻。観覧者からは思わず、「ああ、ここまで来た甲斐があった……」とのつぶやきが漏れるほどの迫力です。
制作にどれだけの努力と苦労が重ねられたのだろうかということを思うにつけ、自身、なかなかその場を離れることができませんでした。
見る位置、角度によって、表情を変える砂像であるだけに、いつまで見ていても飽きないのです。名残り惜しい気持ちを抑えつつ、会場の外へ。

屋内会場の外にも砂像作品がありました。
現在の屋内展示スペースができる前の展示はこういうものであったことをほうふつとさせてくれます。
テントのような幌の屋根こそ付いていますが、照明もないほぼ吹きさらしであれば、悪天候の場合、砂が溶け出したり、崩壊したりと大変な手間が生じていたことでしょう。

▲ロシア民話「大きなかぶ」
かぶをモノにするんだという、おじいさんとおばあさんの気合が伝わってきます

▲ロシア民話「大きなかぶ」
おばあさんの後ろには孫娘、犬、猫と続きます。それぞれの表情がユーモラス

砂丘が生んだ美術館

順路に沿って坂を上がると、展望台があり、鳥取砂丘が一望できます。
かつては砂丘から飛んでくる砂の害に悩まされた近隣住民が防風林を植樹したこともあったらしいのですが、砂丘が豊かな観光資源であることから、その見直しも行われ、砂丘を保存する取り組みが続けられているそうです。砂の美術館の構想もまさにそうした自然と郷土を守ろうとする思いから生まれたものなのでしょう。

▲展望台から臨む鳥取砂丘。写真に写ってはいませんが、ハンググライダー、パラグライダーなどスカイスポーツも盛んに行われるそうです

想像以上に硬い砂像の土台

順路の最後には、砂像の土台のサンプルが設置されており、だれもが触ったり、掘ったりすることが可能な場があります。
私も実際に触ってみましたが、思った以上に砂の土台は硬く、砂粒はキメ細かいものでした。

この堅固かつ繊細な素材だからこそ、展示されているような陰影豊かな深みのある砂像を実現できるのだということを実感できたように思いました。

▲砂像の土台のサンプルを触る子どもたち。想像以上に硬い土台を削るのに苦戦していました

住民の知恵と工夫で特色を魅力へ

<取材後記>
人口減少社会というものが真実味をもって私たちの生活に影響しつつある昨今、地方の在り方が問われています。
とりわけ鳥取県は47都道府県で最も人口の少ない県ということもあり、その苦悩は切実と言っていいでしょう。
その意味で、鳥取砂丘という日本を代表する自然遺産を最大限に生かし、砂の美術館という付加価値をもたらすことに敬意を表したいと思います。
地方にはそれぞれの固有の特色が存在します。
その特色を魅力に変えていくことは地域の住民らによる知恵と工夫次第。
砂の美術館の成功はそのお手本として、地方の活性化を目指す地域の注目を集めていくことでしょう。

<メモ>
展示期間:2015年1月4日まで(第7期展示「砂で世界旅行・ロシア編)。
詳しくは「鳥取砂丘 砂の美術館」ウェブサイトhttp://www.sand-museum.jp/へ。

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