ビール類の税率見直しへ

2014年7月18日

ビールの税区分を巡って、税収を増やしたい国税庁と、価格を抑えて売り上げを伸ばしたいビール業界の駆け引きが活発化しています。

「極ZERO」販売中止の波紋

サッポロビールは、7月15日、第三のビールとして販売してきた「極ZERO」を発泡酒に改めて再発売しました。
これは昨年6月に発売した同商品が、酒税の安い第三のビールには当てはまらないのではないか、という国税庁の指摘を受け、急きょ販売を終了したためです。
通常、ビール会社が新商品を発売する時は、その商品が酒税法上のどの酒類区分に該当するか、メーカーが法令に照らして自主判断します。サッポロビールは「極ZERO」が通常のビールや発泡酒ではなく第三のビールに該当するとして販売を開始しました。
この商品は、プリン体をほぼ含まないビール類で、しかも値段の安い第三のビールであることから人気となり、1年で約600万ケース(1ケース=大瓶20本換算)を売るヒット商品となりました。
しかし今年1月に国税当局から「極ZERO」の製造方法について疑義が出されたのです。

メーカーは節税ビールの開発へ

ビール系飲料は使われる原料や製法によって種類区分が決まり、税率も異なります。麦芽比率が3分の2以上の「ビール」は350ml缶で77円の税がかかりますが、麦芽25%未満の「発泡酒」は47円です。さらに麦や麦芽以外の原料を使ったり発泡酒にスピリッツを加えたものなど「第三のビール」は28円です。
税金が安く済めば商品の価格も安くできるので、ビール系メーカーは味や品質の追求とともに、できるだけ税金の安い区分に商品が該当するよう、工夫を重ねてきました。ビールが発泡酒に代わり、さらに第三のビールが出現したのもそのような理由からです。
しかし今回の「極ZERO」の件では国税庁からその区分について、第三のビールには該当しないのではないかという疑義が出され、メーカー側がそれを受け入れ、「発泡酒」として再発売することになりました。
税率の差額と、これまで販売した商品の量を計算すると、サッポロビールが支払う可能性のある追加納付税は約116億円にもなるとされています。

貴重な財源・酒税を守れ

酒税は国にとって安定した税収が見込める貴重な財源です。
一方、ビール会社にとっては酒税を低く抑えることができれば、それだけ低価格な商品を販売できることになり、シェアの拡大につながります。
ビール業界は競争の激しい業界で、各社ともシェアの拡大のためにさまざまな工夫を重ねており、その努力が酒税を低く抑える新しいカテゴリーのビール類の開発につながっていったというわけです。
しかし、それは酒税を所管する国税庁にとっては税金の減収になるわけで、必ずしも歓迎できることではありません。
政府与党は6月15日、ビール類の酒税を見直す方針を明らかにし、発泡酒や第三のビールの税率を引き上げる方向で検討をはじめました。
ビールの出荷数量は1994年度の742万キロリットルから減少が続いており、2012年度には280万キロリットルにまで落ち込んでいます。一方、最も安い第三のビールは220万キロリットルと増加傾向にあり、消費者が安いビール飲料にシフトしているのが分かります。
他の酒類を含む酒税トータルの収入も減少しており、この傾向に歯止めをかけるために、発泡酒と第三のビールを好む消費者にも、もう少し税金を負担してもらうというのが、今回の見直しの狙いです。
その代わり、現在税率の高いビールについては税金を引き下げ、税率の格差を縮小していくとされています。
具体的な税率については、秋から本格的に議論をはじめ、年末の2015年度税制改革大綱に盛り込む予定です。