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【主張】寡婦控除の見直し 未婚のひとり親も加えるべきだ
未婚のひとり親世帯に対する寡婦控除の「みなし適用」が、6月から児童手当などの福祉サービスで順次実施されている。
例えば今月は、保育所や幼稚園の利用料が軽減された。難病医療費の自己負担や、障がい児の通所・入所支援にかかる利用者負担も軽くなっている。自治体は該当する家庭が漏れなく申請できるようフォローしてほしい。
寡婦控除とは、離婚や死別によるひとり親世帯などが受けられる所得控除の一つで、戦争で夫を失った妻を支援するため1951年に創設された。所得税や住民税が低く抑えられるほか、課税額に基づいて算定される保育料なども軽減される。
今回の措置は、未婚であっても寡婦と同様であると「みなす」ことで、福祉サービスに限って適用対象としたものだ。婚姻歴がないことによる不利益の解消が一歩進んだことを評価したい。
その上で一番大きな問題は、今回の措置では、所得税や住民税の控除を受けられないことだ。このため寡婦控除の制度そのものを見直し、未婚のひとり親世帯も所得控除を受けられるようにする必要性が論議されている。
厚生労働省の2016年度「全国ひとり親世帯等調査」によると、母子世帯全体に占める未婚のシングルマザーの割合は8・7%と過去最高となり、死別による母子世帯の8・0%を上回っている。
経済状況も苦しい。未婚のシングルマザーの就労による年収は平均177万円で、母子世帯全体の200万円より23万円低い。
にもかかわらず所得控除が受けられず、同じひとり親でありながら寡婦より税負担が重い。公平・中立・簡素という税制の原則に照らせば、現在の寡婦控除が現実に追い付いていないことは明らかだ。
公明党はこれまで、未婚のひとり親世帯への支援を拡充するために寡婦控除を抜本的に見直すべきと主張してきた。これを受け、18年度与党税制改正大綱では、未婚のひとり親世帯に対する寡婦控除の適用を「19年度税制改正で検討し結論を得る」と明記している。
政治の責任で、ぜひ実現させたい。