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【主張】コロナと個人データ 対策への活用は国民の信頼必要
スマートフォン(スマホ)などの利用を通じて収集される行動履歴や位置情報といった個人データを、新型コロナウイルス対策に活用する取り組みが進んでいる。感染防止に大きな効果が期待されるが、国民の理解と協力を得る努力を怠ってはならない。
政府は、感染先を追跡するスマホ向けアプリの実用化を急いでいる。利用者同士が一定時間接近すると、行動履歴を互いの端末に記録。利用者の感染報告を受け、近くで接した利用者に濃厚接触の可能性を通知する仕組みだ。
大阪府も、イベント会場などで感染者が発生した際、事前にアドレス登録していた参加者に対し、メールで注意を促す制度を導入する。
こうしたシステムにより、利用者は医療機関などに早めに相談に行ける。クラスター(感染者集団)の早期発見にもつながろう。
既に政府は、IT企業や携帯電話会社などと連携し、個人データをコロナ対策に活用している。
例えば、利用者の位置情報に基づき、主要駅や観光地の人出の増減などを公表し、外出自粛要請といった各種方針の参考にしている。また、LINE社と協力して利用者の健康状態について全国調査を行い、約2400万人分の結果をクラスター分析に生かした。
課題は、情報提供者のプライバシーをどう守るかだ。
国民の信頼がなければシステムは十分に普及せず、効果も限定的になってしまう。実際、シンガポールの感染追跡アプリは、電話番号の登録が国民から敬遠され、利用者は人口の5分の1程度にとどまるという。
プライバシー保護については、政府の個人情報保護委員会が感染追跡アプリに関する考え方を公表している。具体的には、▽本人への十分な説明と同意に基づき行う▽個人情報保護法など関係法令にのっとり適切に運用する▽取得する情報の利用目的を具体的に特定し、分かりやすく明示する――などだ。
政府や大阪府のシステムは電話番号を収集しないなど個人が特定されないよう配慮されている。厳格な情報管理こそ信頼の基であることを重ねて強調しておきたい。









