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2018年8月31日

【主張】がん見落とし ミスは起きるとの前提で備えを

治療法や検査技術の向上により、がん患者の生存率が高まる一方で、がんが見落とされ、必要な治療が受けられずに患者が死亡する事故が相次いでいる。

 千葉大学医学部付属病院は今年6月、9人の患者のがんを見落とし、うち2人が死亡したことを明らかにした。昨年も、東京慈恵会医科大学付属病院や横浜市立大学付属市民総合医療センターで同様のミスが発覚している。あってはならない事態である。

 いずれのケースも、コンピューター断層撮影(CT)による画像診断で病変を見逃したことが原因だ。CTは高度化が進み画像もより鮮明になっているにもかかわらず、なぜ見落としが起きるのか。

 日本医学放射線学会は先月、情報量の増加に医療側が追い付いていないとの見解を発表した。例えば、CTは1度に数百枚の画像を撮影できるほど機能が向上しているが、枚数が多いほど主治医は撮影目的の臓器に注力し、他の部位にまで注意が及ばない傾向があるという。

 これを防ぐ手だての一つに画像診断報告書がある。CT検査を担う放射線科医が、がんの恐れがある部位などをまとめたものだ。だが、膨大な画像を分析して報告書をつくるには時間がかかる。その間に画像だけが先に主治医に届けられるため、後から届いた報告書が十分に確認されないことがあり、これが見落としにつながっている。

 実際、医療事故情報をまとめている日本医療機能評価機構によると、CT検査の報告書の確認不足により治療が遅れた事例が、報告されたものだけで2015年1月から今年3月までに36件あった。

 まずは、主治医が報告書を確認するとの原則を改めて徹底すべきである。その上で、人為的なミスを前提とした対策を医療機関には求めたい。主治医が報告書を確認したかどうかを第三者がチェックする仕組みを導入したり、報告書を患者に見せるといった事例は少なくない。

 厚生労働省は、こうした取り組みを周知すると同時に、見落とし防止策の検討を急いでほしい。がんは治る病気となりつつあるだけに、見落としを防ぐための備えを二重三重に整える必要がある。 

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